宇宙空間などの極めて真空に近い環境を運動する人工衛星や、希薄気体中を落下する微小な塵が受ける空気抵抗は、日常的な流体力学ではなく、気体分子運動論に基づくミクロな衝突の積み重ねとして理解されます。本問では、この抵抗力を分子レベルの衝突から厳密に導出します。
質量 m の単原子分子からなる数密度 n の希薄な気体を考えます。この気体中の分子は互いに衝突することなく、空間に対してすべて等しい速さ v0 で運動しており、その運動方向は空間的に完全に等方的(どの方向にも偏りなく飛んでいる)であるとします。重力などの外力は無視できるものとします。
この気体の中を、断面積 S の薄い平板が、その面に垂直な方向(z 軸の正の方向とします)に一定の速度 V で運動しています。ただし、V は 0<V<v0 を満たすとします。 気体分子は平板と完全に弾性衝突をするものとして、平板が受ける進行方向と逆向きの抵抗力 F を導出してください。
平板の進行方向を向く面を「前面」、逆を向く面を「後面」と呼びます。 解析にあたり、分子の速度ベクトルと z 軸正の方向とのなす角を θ (0≤θ≤π)、xy 平面への射影と x 軸とのなす角を ϕ (0≤ϕ<2π)とする球座標系を用います。
※必要であれば、等方的な速度分布において、微小な立体角 dΩ=sinθdθdϕ の方向に向かって飛ぶ分子の割合が 4πdΩ であることを利用してください。
平板が気体分子から受ける正味の抵抗力 F の大きさを単位 N (ニュートン)で求め、得られた値を 10倍した値の自然数 を回答せよ。
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