問題文
質量 m、電荷 q (q>0) のイオンを分析する装置を考える。空間には直交座標系 (x,y,z) が設定されている。
装置は以下の2つの領域からなる。
【領域1(速度選択器)】 0≤x≤L
この領域には、y 軸正の向きに一様な電場 E、z 軸正の向きに一様な磁場 B1 が存在する。
x=L の平面には、y=0 を中心として y 方向に微小な幅 w (−2w≤y≤2w)を持つスリットが開いている。これ以外の場所に入射した粒子は遮蔽される。
【領域2(質量分析器)】 x>L かつ y>0
この領域には電場はなく、z 軸負の向きに一様な磁場 B2 が存在する。
また、x=L かつ y>0 の平面上にはイオンの到達位置を記録する検出器が配置されている。
原点 (0,0,0) から x 軸正の向きに、様々な初速度 v を持つイオンのビームが入射する。
以下の手順で、検出器上に到達するイオンの分布幅を求めよ。ただし、領域1を通過する時間は十分に短く、粒子が磁場から受ける影響は小さいため、領域1内での y 方向の速度成分 vy は vy≪v を満たし、x 方向の速度成分は入射時の速度 v で一定であると近似してよい。
- 初速度 v=vc のイオンは、領域1で軌道が曲がることなく直進してスリットの中心 (L,0,0) を通過した。vc を E,B1 を用いて表せ。
- 初速度 v=vc+Δv (ただし ∣Δv∣≪vc)のイオンが領域1に入射した。このイオンが x=L に到達したときの y 座標 y(L) を、m,q,B1,vc,L,Δv を用いて表せ。
- イオンがスリットを通過できる初速度のずれの最大値を Δvmax>0 とする(すなわち −Δvmax≤Δv≤Δvmax の粒子がスリットを抜ける)。Δvmax を m,q,B1,vc,L,w を用いて表せ。
- 初速度 v=vc+Δv でスリットを通過したイオンは、領域2に入り半円軌道を描いて検出器に到達する。領域2に入射する際の速度の向きは x 軸から微小な角度ずれているが、この微小角の2次以上の影響を無視すると、検出器上での到達位置の y 座標 yfinal は、スリット通過時の位置 y(L) と初速度成分 v を用いて yfinal≈y(L)+qB22mv と近似できる。
この関係を用いて、yfinal を m,q,B1,B2,vc,L,Δv のみを用いて表せ。
- スリットを通過したイオン群が検出器上で広がる y 座標の幅(最大値と最小値の差)を δy とする。後述の制約条件の数値を代入し、δy の値を求めよ。
制約
各変数は以下の現実的なSI単位系の値を持つ。
- イオンの質量: m=1.6×10−25kg (約 100u の重イオン)
- イオンの電荷: q=1.6×10−19C
- 領域1の電場: E=3.8×102V/m
- 領域1の磁場: B1=1.0×10−2T
- 領域2の磁場: B2=1.0T
- 領域1の長さ: L=4.0×10−1m
- スリットの幅: w=3.0×10−4m
入力形式
δy の値を μm (マイクロメートル、10−6m)単位で計算し、その数値を自然数で入力せよ。