GWCS003 問題5
Problem Statement
斜め方向に運動する観測者とドップラー効果
問題文
二次元の xy 平面において、風はなく、空気中の音速 V は常に一定である。この平面上の点 S(0,d) に、一定の振動数 f0 の音波を全方位に発生させる音源が静止して固定されている。一方、ある観測者が x 軸上を正の向きに一定の速さ v で運動している。観測者が原点 O(0,0) を通過する瞬間に直接聴く音波の振動数 f′ を考える。この音波は、観測者が原点に到達するよりも前の時刻に音源 S から発せられ、直線経路を通って原点に到達したものである。音源から観測者に向かう方向と観測者の運動方向の関係を考慮して、振動数の比 f0f′ を求めよ。
制約
- 音源の固有の振動数 f0=578 Hz
- 空気中の音速 V=340 m/s
- 観測者の移動の速さ v=160 m/s
- 音源の位置を表す長さ d=150 m
入力形式
観測者が原点を通過する瞬間に観測する音波の振動数 f′ と、音源の固有の振動数 f0 の比 f0f′ を既約分数 qp で表すとき、p+q の値を表す自然数を入力せよ。
Solution
解説
観測者が斜め方向から伝播してくる音波を受け取るときの、ドップラー効果に関する問題です。
1. 音波が発せられた位置と時間の関係
観測者が原点 O(0,0) に到達した時刻を t=0 とします。観測者が原点で聴く音波は、それより前の時刻 t=−t0 (t0>0) に音源 S(0,d) から発せられたものです。 音波が音源から原点まで進む距離を L とすると、音速が V であることから、音波が伝播するのにかかった時間 t0 は次のように表されます。 t0=VL
時刻 t=−t0 において、速さ v で x 軸上を正の向きに動く観測者は、原点の手前(x 軸の負の領域)の以下の位置にいました。 x=−vt0=−vVL
このとき、音源 S(0,d) と時刻 t=−t0 における観測者の位置 (−vVL,0) との間の距離が L であるため、三平方の定理より次の関係式が成り立ちます。 L2=(−vVL)2+d2
これを L2 について整理します。 L2(1−V2v2)=d2 L=1−V2v2d
制約の数値を代入して L の具体的な値を求めます。 1−V2v2=1−(340160)2=1−(178)2=289289−64=289225=1715 L=1715150=170 m
2. 音波の入射角の決定
音波が発せられた瞬間の、音源から観測者へ向かう直線と x 軸の正の向き(観測者の運動方向)がなす角を θ とします。 音源 S(0,d) から当時の観測者の位置 (−80,0) へ向かうベクトルの成分を考えると、 x 成分の変位は −80 m、 y 成分の変位は −150 m であり、全距離は L=170 m です。 したがって、 cosθ の値は次のように求まります。 cosθ=170−80=−178
3. 斜めドップラー効果の適用
観測者が受けるドップラー効果の振動数 f′ は、音波の伝播方向における観測者の速度成分によって決まります。観測者は音波の進行方向に対して vcosθ の速度成分を持って運動しているため、ドップラー効果の公式より以下の関係が成り立ちます。 f′=VV−vcosθf0
この式に変数の関係を代入して、比 f0f′ を導出します。 f0f′=1−Vvcosθ
数値を代入します。 f0f′=1−(178)×(−178)=1+28964=289353
4. 入力値の算出
得られた比 289353 は、分子の 353 が素数であるため、これ以上約分できない既約分数です。 したがって、 p=353、 q=289 となります。 入力形式に従い、 p+q を計算します。 p+q=353+289=642
入力すべき自然数は 642 です。