GWCA002 問題3
Problem Statement
1次元調和振動子における線形摂動とエネルギー固有値の厳密解
問題文
質量 m の粒子が、角振動数 ω の1次元調和振動子ポテンシャル V(x)=21mω2x2 の中を運動している。この系に、次のような位置 x に比例する微小な摂動ポテンシャル H′ を加える。
H′(x)=−qExここで、q,E は正の定数であり、プランク定数 ℏ を用いて系の代表的なエネルギーに比べて十分に小さいものとする。
この全ハミルトニアン H=H0+H′(ただし H0 は無摂動のハミルトニアン)に対し、摂動論を用いずに、変数を適切に変換することでシュレーディンガー方程式の厳密な固有状態とエネルギー固有値を求めることができる。
非摂動系の基底状態(量子数 n=0)のエネルギー固有値を E0(0) とし、摂動を加えた後のハミルトニアンにおける基底状態の厳密なエネルギー固有値を E0 とする。エネルギーのシフト量 ΔE0=E0−E0(0) を求めたとき、この値は系のパラメータを用いて次の形で表される。
ΔE0=−mω2A⋅q2E2ここで、A は無次元の定数である。
制約
- 特になし(物理定数および設定された文字のまま計算を行う)
入力形式
定数 A の値を計算し、それを分子と分母が互いに素な正の整数(自然数)である既約分数 qp の形で表せ。このとき、分子 p と分母 q の和である p+q の値を求めよ。
Solution
解説
ハミルトニアンの平方完成による変形
摂動を加えた後の全ハミルトニアン H は、次のように書くことができます。
H=−2mℏ2dx2d2+21mω2x2−qExポテンシャルエネルギーの項を x について平方完成(変形)します。
21mω2x2−qEx=21mω2(x2−mω22qEx) =21mω2(x−mω2qE)2−2mω2q2E2新しい座標系の導入
ここで、新しい座標変数 x′ を次のように定義します。
x′=x−mω2qE座標の原点をずらしても微分演算子は変わらない( dxd=dx′d )ため、ハミルトニアン H は x′ を用いて次のように表されます。
H=−2mℏ2dx′2d2+21mω2(x′)2−2mω2q2E2この式の第1項と第2項は、平衡位置が x=mω2qE に移動しただけで、本質的に無摂動系と全く同じ角振動数 ω の1次元調和振動子のハミルトニアンそのものです。
厳密なエネルギー固有値の導出
したがって、このハミルトニアンのエネルギー固有値 En は、標準的な調和振動子の固有値から定数項 2mω2q2E2 を一様に引いたものになります。
En=(n+21)ℏω−2mω2q2E2(n=0,1,2,…)無摂動系の基底状態( n=0 )のエネルギーは、次の通りです。
E0(0)=21ℏω摂動を加えた後の厳密な基底状態のエネルギーは、 n=0 を代入して次のようになります。
E0=21ℏω−2mω2q2E2定数の決定と自然数化
エネルギーのシフト量 ΔE0 を計算します。
ΔE0=E0−E0(0)=−21⋅mω2q2E2問題文で定義された形式と照らし合わせます。
ΔE0=−mω2A⋅q2E2これより、無次元の定数 A は次のように定まります。
A=21この分数は分子 p=1、分母 q=2 であり、これらは互いに素な正の整数(自然数)の条件を満たします。 求める自然数は、 p+q=1+2=3 です。