GWCA002 問題2
Problem Statement
1次元無限に深い井戸型ポテンシャルにおける摂動と波動関数の重ね合わせ
問題文
質量 m の単一の粒子が、次のポテンシャルエネルギー V(x) をもつ1次元空間に閉じ込められている。
V(x)={0∞(0≤x≤L)(その他)この系に、次のような微小な摂動ポテンシャル H′ を加える。
H′(x)={V00(0≤x≤2L)(その他)ここで、V0 は正の定数であり、無摂動系の基底状態のエネルギーに比べて十分に小さい(V0≪2mL2π2ℏ2)ものとする。
摂動を加えた後のハミルトニアンの基底状態の波動関数を ∣ψ1⟩ とし、無摂動系における第1励起状態(量子数 n=2 の状態)の波動関数を ∣ϕ2⟩ とする。1次の摂動論を適用したとき、基底状態の波動関数 ∣ψ1⟩ に含まれる第1励起状態の成分の重み(展開係数)の絶対値 ∣⟨ϕ2∣ψ1⟩∣ を求める。
この絶対値は、無次元の比 ℏ2mL2V0 および円周率 π を用いて、次の形で表される。
∣⟨ϕ2∣ψ1⟩∣=π3A⋅ℏ2mL2V0ここで、A は無次元の定数である。
制約
- 特になし(物理定数および設定された文字のまま計算を行う)
入力形式
定数 A の値を計算し、それを分子と分母が互いに素な正の整数である既約分数 qp の形で表せ。このとき、分子 p と分母 q の和である p+q の値を求めよ。
Solution
解説
無摂動系の固有状態とエネルギー固有値
幅 L の1次元無限に深い井戸型ポテンシャルの無摂動ハミルトニアン H0 に対する固有関数 ϕn(x) およびエネルギー固有値 En は、量子数 n=1,2,3,… を用いて次のように与えられます。
ϕn(x)=L2sin(Lnπx) En=2mL2n2π2ℏ2基底状態は n=1、第1励起状態は n=2 です。それぞれのエネルギーから、エネルギー差を計算します。
E1−E2=2mL2π2ℏ2−2mL24π2ℏ2=−2mL23π2ℏ21次摂動論による波動関数の補正
1次の摂動論において、補正された基底状態の波動関数 ∣ψ1⟩ に含まれる第1励起状態 ∣ϕ2⟩ の展開係数は次のように表されます。
⟨ϕ2∣ψ1⟩=E1−E2⟨ϕ2∣H′∣ϕ1⟩摂動行列要素の計算
分子の行列要素 ⟨ϕ2∣H′∣ϕ1⟩ を計算します。摂動ポテンシャル H′(x) は 0 から 2L の範囲でのみ V0 となるため、積分範囲に注意して固有関数を代入します。
⟨ϕ2∣H′∣ϕ1⟩=∫02L(L2sin(L2πx))V0(L2sin(Lπx))dx =L2V0∫02Lsin(L2πx)sin(Lπx)dx積和の公式 sinAsinB=21[cos(A−B)−cos(A+B)] を用いて積分を実行します。
=LV0∫02L[cos(Lπx)−cos(L3πx)]dx =LV0[πLsin(Lπx)−3πLsin(L3πx)]02L上限 x=2L を代入すると、 sin(2π)=1、 sin(23π)=−1 となるため、次のようになります。
=LV0[πL(1)−3πL(−1)]=3π4V0展開係数の絶対値と定数の決定
得られた行列要素とエネルギー差を代入して、係数の絶対値を求めます。
∣⟨ϕ2∣ψ1⟩∣=−2mL23π2ℏ23π4V0=3π4V0⋅3π2ℏ22mL2=9π38ℏ2mL2V0問題文で定義された形式と照らし合わせます。
∣⟨ϕ2∣ψ1⟩∣=π3A⋅ℏ2mL2V0計算結果の分母にある π3 が、問題文の定義式の分母にある π3 と正確に相殺されるため、無次元の定数 A は純粋な有理数(分数)として次のように定まります。
A=98既約分数化と自然数化
定数 A=98 は、分子 p=8、分母 q=9 の分数として表され、これらは互いに素な正の整数(自然数)の条件を満たします。 求める自然数は、 p+q=8+9=17 です。