二相共存の熱力学的条件
一定温度で二相が平衡共存するには、圧力とモル Gibbs 自由エネルギーが両相で等しくなければなりません。
モル Helmholtz 自由エネルギーを f とすると、一定温度では
df=−Pdv
です。また、
g=f+Pv
なので、共存圧力を PM とすると
g(vg)−g(vℓ)=−∫vℓvgP(v;ε)dv+PM(vg−vℓ)=0
が必要です。
したがって二相共存条件は
P(vℓ;ε)=P(vg;ε)=PM
および
∫vℓvg[P(v;ε)−PM]dv=0
です。後者がマクスウェルの等面積則です。
x=(v−v0)/v0 を用いれば dv=v0dx なので、共存する二点を xℓ,xg として
∫xℓxg[P(x;ε)−PM]dx=0
と書けます。
ε=0 における共存解
ε=0 では
P(x;0)−P0=ax−bx3=x(a−bx2)
です。
この関数は x の奇関数なので、PM=P0 とすれば等面積条件は対称性によって満たされます。
外側の二つの交点は
x=±ba
です。
そこで
s=ba
とおくと、
xℓ(0)=−s,xg(0)=s,PM(0)=P0
です。
与えられた係数では
s=21=21
となります。
これは s<xmax を満たすため、ε=0 の共存点は状態方程式の有効範囲内にあります。
共存解の存在と局所一意性
共存条件を
F1=P(xℓ;ε)−PM,
F2=P(xg;ε)−PM,
F3=∫xℓxg[P(x;ε)−PM]dx
と定義します。
ε=0 の共存解
(xℓ,xg,PM)=(−s,s,P0)
で、等温線の傾きは
∂x∂Px=±s,ε=0=a−3bs2=−2a
です。
また、F3 を積分端点で微分した項は、共存点では被積分関数自身がゼロなので消えます。
したがって、(F1,F2,F3) の (xℓ,xg,PM) に関するヤコビ行列は
J=−2a000−2a0−1−1−2s
となり、
detJ=−8a2s=0
です。
よって陰関数定理により、十分小さい ε に対して、ε=0 の共存解に連続につながる共存解が局所的にただ一つ存在します。
摂動展開
共存点と共存圧力を
xℓxg=−s+εuℓ+ε2wℓ+O(ε3),=s+εug+ε2wg+O(ε3)
および
PM=P0+a[r1ε+r2ε2+O(ε3)]
と展開します。
圧力補正を
π1=ar1,π2=ar2
と書けば、
PM=P0+επ1+ε2π2+aO(ε3)
です。
まず、
f0(x)=ax−bx3
とおくと、
f0′(±s)=−2a
です。
圧力一致条件を一次まで展開すると、
π1=−2auℓ+cs4
および
π1=−2aug+cs4
を得ます。
したがって、
uℓ=ug=u
です。
一方、マクスウェルの等面積条件の一次の項は
∫−ss(cx4−π1)dx=0
となります。
よって、
52cs5−2sπ1=0
なので、
π1=5cs4
です。
圧力一致条件へ戻すと、
u=5a2cs4=5b22ca
を得ます。
二次補正
圧力一致条件を二次まで展開します。
x=s 側では、
π2=−2awg−3bsu2+4cs3u
です。
x=−s 側では、
π2=−2awℓ+3bsu2−4cs3u
となります。
等面積条件を二次まで展開します。ゼロ次の被積分関数は両端でゼロであり、一次の端点移動量は左右とも u です。また、
f0′(s)=f0′(−s)=−2a
であるため、移動する積分端点から生じる二次の寄与は左右で打ち消し合います。
したがって、二次の等面積条件は
−2sπ2=0
となり、
π2=0
です。
これを圧力一致条件に代入すると、
wg=2a−3bsu2+4cs3u
です。
s2=a/b と一次補正の u を用いると、
wg=25b314c2as
となります。
同様に、
wℓ=−25b314c2as
です。
数値係数の整理
制約から、
ba=21,bc=21
です。
したがって、
s=21
であり、
u=101
となります。
また、
wg=10027,wℓ=−10027
です。
よって、
xℓ=−21+10ε−10027ε2+O(ε3)
および
xg=21+10ε+10027ε2+O(ε3)
を得ます。
したがって共存体積は、
vℓ=v0[1−21+10ε−10027ε2+O(ε3)]
および
vg=v0[1+21+10ε+10027ε2+O(ε3)]
です。
共存圧力について、
aπ1=5acs4=201
かつ π2=0 なので、
PM=P0+a[20ε+O(ε3)]
です。
すなわち、
PM=5×106Pa+(2×104Pa)ε+(4×105Pa)O(ε3)
となります。
局所的な力学的安定性
等温圧縮率
κT=−v1(∂P∂v)T
が正であるためには、v>0 のもとで
(∂v∂P)T<0
が必要です。
v0>0 なので、これは
∂x∂P<0
と同値です。
状態方程式から、
∂x∂P=a−3bx2+4εcx3
です。
共存点で一次まで展開すると、
∂x∂Pxℓ=−2a−5b8casε+aO(ε2)
および
∂x∂Pxg=−2a+5b8casε+aO(ε2)
となります。
a>0 であるため、十分小さい正の ε では両者とも負です。したがって、二つの共存相はいずれも等温圧縮率に関して局所的に安定です。
また、ε=0 で両共存点は ∣x∣<xmax の内部にあり、補正は ε→0+ とともに連続的に小さくなるため、十分小さい正の ε では状態方程式の有効範囲内にとどまります。
入力値
体積差について、
2v0vg−vℓ=2xg−xℓ=21+10027ε2+O(ε3)
です。
したがって、
D(ε)=(2v0vg−vℓ)2
は、
D(ε)=21+1007ε2+O(ε3)
となります。
よって、
D2=1007
です。
したがって、
p=7,q=100
であり、入力すべき自然数は
p+q=107
です。
入力すべき自然数:107