風船の熱力学
Problem Statement
風船の熱力学
問題文
大気中(大気圧は p0)で半径 r0、厚み δ0 の球形ゴム膜風船に1モルの単原子分子理想気体を封入し、風船の口を縛って密閉した。この時、ゴム膜に張力は働いていない、つまり r0 が「自然長」であるにもかかわらず大気との力学的平衡を保っており、したがって中の気体の温度は、
T0=3R4πr03p0であった。ただし、R は気体定数とする。
さて、この風船を加熱し中の気体を温めると、風船は球形を保ったまま、また大気との力学的平衡を保ったままゆっくりと膨張した。ただし、風船の口の効果は無視する。この間、風船のゴム膜と中の気体の温度は常に等しいとする。
また、ゴム膜の厚み δ は風船の半径 r に比べて非常に小さく、ゴム膜自体の体積は常に一定、すなわち非圧縮であるとする。そして、ゴム膜に働く単位断面積あたりの張力 τ は、風船の半径 r、ゴム膜の温度 T、定数係数 α を用いて、
τ=αr0r−r0Tと表されるとする。
この風船の熱容量 C=dQ/dT を、風船の半径 r の関数として求めよ。ただし、dQ は風船の中の気体が吸収した微小な熱量、dT は温度 T の微小変化とし、ゴム膜自体の熱容量は無視できるものとする。
制約
特になし。
r の変域は物理的に許される範囲のみを考える。
入力形式
無次元量
x=r0r,K=3R8παr02δ0を用いると、
C=23R3+dK−eKxa+bK−cKxと表せる。ただし、a,b,c,d,e は自然数とする。
積 abcde を入力せよ。
Solution
ゴム膜の非圧縮性より、厚みを δ とすると、δ≪r に注意して、
4πr2δ=4πr02δ0よって、ゴム膜の単位長さあたりに働く張力 γ は、
γ=δτ=αr0δ0Tr2r−r0次に、風船内部の気体の圧力 p を求める。2つの方法を解説する。
① 微小ゴム膜正方形に着目する方法
一辺 rθ の微小ゴム膜正方形に着目する。各辺はゴム膜から rθγ の張力を受けるが、その合力は風船の中心向きに、
4rθγsin2θとなる。
微小ゴム膜正方形にかかる力のつり合いから、
p=p0+(rθ)24rθγsin(θ/2)θ→0 として、
p=p0+r2γ② 風船の左半分に着目する方法
風船の左半分にかかる力のつり合いを考える。過剰圧力 p−p0 により左向きに (p−p0)πr2、ゴム膜により右向きに 2πrγ の力を受けるから、
p=p0+r2γ以上の圧力 p の表式と理想気体の状態方程式より、
34πr3p=34πr3p0+38παr0δ0(r−r0)T=RTしたがって、
T=R−8παr0δ0(r−r0)/34πr3p0/3=1+K−Kxx3T0これを x で微分すると、
dxdT=(1+K−Kx)23(1+K)x2−2Kx3T0=1+K−Kx3(1+K)/x−2KT熱力学第一法則より、
dQ=dU+pdV=23RdT+4πr2r0pdxよって、
C=dTdQ=23R+4πr2r0pdTdx=23R3+3K−2Kx5+5K−4Kxしたがって、
a=5,b=5,c=4,d=3,e=2であるから、
abcde=5×5×4×3×2=600入力すべき値は600。