GSO005 問題9
Problem Statement
交換対称性と最大固有角振動数
問題文
水平な直線レール上を摩擦なく動く同質量の小台車 A,B,C があり,レール方向の平衡位置からの微小変位をそれぞれ xA,xB,xC とする。列ベクトルを
x=xAxBxCとおく。
微小振動の範囲で,台車に働く復元力は線形であり,
mx¨+Kx=0に従う。ここで剛性行列 K は,装置が A と C の交換に対して対称であることを反映して
K=α−γ−η−γβ−γ−η−γαで与えられる。
この装置の全ての正規モードのうち,最大の角振動数を ω+ とする。基準時間を T として,無次元量
Y=(ω+T)2を考える。制約の値を用いると,Y は
Y=P+QRと一意に表せる。ただし P,Q,R は自然数であり,R は平方因子をもたないものとする。
制約
(変数への現実的な数値とSI単位の割り当て。箇条書き。単位もKaTeX)
- m=0.50kg
- α=48N/m
- β=40N/m
- γ=16N/m
- η=0N/m
- T=1.0s
入力形式
P×Q×Rの値を入力せよ。
Solution
正規モードの条件
運動方程式は
mx¨+Kx=0である。正規モードでは,各成分が同じ角振動数で振動するので,ある一定ベクトル u=0 を用いて
x(t)=ucos(ωt+ϕ)と書ける。
これを運動方程式に代入する。
x¨(t)=−ω2ucos(ωt+ϕ)より,
m{−ω2ucos(ωt+ϕ)}+Kucos(ωt+ϕ)=0したがって
(K−mω2I)u=0である。非零ベクトル u が存在するための条件は
Ku=mω2uである。
つまり,mω2 は剛性行列 K の固有値である。したがって,K の最大固有値を λ+ とすると,
ω+2=mλ+である。
対称性による分解
行列 K は A と C の交換に対して対称である。したがって,固有ベクトルは
xA=xCを満たす対称モードと,
xA=−xC,xB=0を満たす反対称モードに分けられる。
これは線形代数学でいうと,交換作用素と K が可換であるため,空間が対称部分空間と反対称部分空間の直和に分解されるということである。
反対称モード
反対称モードの固有ベクトルを
uo=10−1とする。
K=α−γ−η−γβ−γ−η−γαだから,
Kuo=α+η−γ+γ−η−α=α+η0−(α+η)=(α+η)10−1である。
よって反対称モードの固有値は
λo=α+ηである。制約より
λo=48+0=48N/mしたがって
ωo2=0.5048=96s−2である。
対称モード
対称モードでは
ue=abaとおける。
これに K を作用させる。
Kue=αa−γb−ηa−γa+βb−γa−ηa−γb+αa=(α−η)a−γb−2γa+βb(α−η)a−γbよって,対称部分空間での固有値問題は
(α−η−2γ−γβ)(ab)=λ(ab)に帰着される。
したがって
det(α−η−λ−2γ−γβ−λ)=0である。
行列式を計算すると,
(α−η−λ)(β−λ)−2γ2=0である。
制約の値
α=48,β=40,γ=16,η=0を代入する。
(48−λ)(40−λ)−2⋅162=0まず,
(48−λ)(40−λ)=1920−88λ+λ2また,
2⋅162=2⋅256=512だから,
λ2−88λ+1920−512=0すなわち
λ2−88λ+1408=0である。
解の公式より,
λ=288±882−4⋅1408判別式を計算する。
882=7744 4⋅1408=5632したがって
882−4⋅1408=7744−5632=2112ここで
2112=64⋅33だから,
2112=833よって対称モードの固有値は
λ=288±833=44±433である。
最大固有値の判定
得られた剛性行列 K の固有値は
48,44−433,44+433である。
433>425=20なので,
44+433>64であり,
44+433>48である。したがって最大固有値は
λ+=44+433である。
最大角振動数の二乗
ω+2=mλ+であり,m=0.50kg だから,
ω+2=0.5044+433 0.50=21より,
ω+2=2(44+433)=88+833したがって
ω+2=88+833s−2である。
無次元量 Y
問題では
Y=(ω+T)2であった。制約より
T=1.0sなので,
Y=ω+2T2 Y=(88+833)s−2⋅(1.0s)2単位が打ち消し合い,
Y=88+833となる。
したがって
P=88,Q=8,R=33である。
求める入力値は
P×Q×R=88×8×33まず,
88×8=704次に,
704×33=704(30+3)=21120+2112=23232よって入力すべき自然数は
23232