GSO005 問題6
Problem Statement
回転する音源による斜めドップラー効果と波の観測
問題文
xy 平面上の原点 O(0,0) を中心とする半径 R の円軌道上を、音源 S が一定の速さ v で反時計回りに等速円運動している。 音源 S は常に一定の振動数 f0 の音波を周囲に発している。 x 軸上の点 A(L,0) には静止した観測者がいる。 空間は無風であり、音速は V で一定である(V>v)。音波の減衰は無視できるものとする。
以下の問いに答えよ。
- 観測者が観測する音の振動数の最大値を fmax とし、最小値を fmin とする。それぞれの値を求めよ。
- 観測者が振動数 fmax の音を観測した瞬間から、次に振動数 fmin の音を観測した瞬間までの間に観測者の耳に届いた、音波の位相の変化量を 2π で割った値を N1 とする。
- 観測者が振動数 fmin の音を観測した瞬間から、次に振動数 fmax の音を観測した瞬間までの間に観測者の耳に届いた、音波の位相の変化量を 2π で割った値を N2 とする。 N1,N2 はそれぞれ N1=k1π、N2=k2π と表される。定数 k1,k2 の値を求めよ。
制約
- 音速 V=340 m/s
- 円軌道の半径 R=10 m
- 観測者の位置 L=20 m
- 音源の速さ v=34 m/s
- 音源の振動数 f0=3366 Hz
入力形式
求めた値を用いて、S=fmax+fmin+k1+k2 を計算し、その自然数値を解答せよ。
Solution
1. 振動数が最大・最小となる条件の導出
ドップラー効果において、観測者が聞く振動数は、音源の速度の「観測者に向かう視線方向成分」によって決まる。 音源 S から観測者 A に向かう方向への音源の速度成分を vr (近づく向きを正)とすると、観測される振動数 f は次のように表される。
f=V−vrVf0この振動数が最大・最小となるのは、vr が最大・最小となるときである。 幾何学的に考えると、音源から観測者に引いた直線が円軌道の接線になるとき、音源の速度ベクトル(円の接線方向)は観測者の方向と完全に一致、または正反対を向く。 点 A から円軌道に引いた2本の接線の接点を、第1象限側で T1、第4象限側で T2 とする。 反時計回りの運動において、音源が第4象限の接点 T2 を通過する瞬間、速度ベクトルは点 A の方向を向くため、vr=v となり最大となる。 逆に、第1象限の接点 T1 を通過する瞬間、速度ベクトルは点 A から遠ざかる正反対の方向を向くため、vr=−v となり最小となる。 したがって、最大振動数 fmax と最小振動数 fmin は以下の通りとなる。
fmax=V−vVf0 fmin=V+vVf02. fmax と fmin の計算
与えられた制約の数値を代入する。
fmax=340−34340×3366=306340×3366=910×3366=10×374=3740 Hz fmin=340+34340×3366=374340×3366=1110×3366=10×306=3060 Hz3. N1,N2 の考え方
波の追い越しは発生しないため(V>v),観測者が一定期間に受け取る音波の位相の変化量は、音源が該当する期間に発した音波の位相の変化量と等しい。 接点 T2 で発せられた音が観測者に届く時刻を tr1、接点 T1 で発せられた音が観測者に届く時刻を tr2 とする。 それぞれの発音時刻を te1,te2 とすると、
tr1=te1+VAT2 tr2=te2+VAT1図形の対称性(△OAT1≡△OAT2)より、観測者から接点までの距離は等しく、AT1=AT2=L2−R2 である。 したがって、音波の伝播時間は等しくなり、観測時間 Δtobs=tr2−tr1 は発音時間 Δt=te2−te1 と完全に一致する。 よって、観測する位相の変化量を 2π で割った値は、単に N=f0Δt として求められる。
4. N1 および k1 の計算
音源が T2 から T1 へ移動する経路は、円の右側の弧である。 直角三角形 OAT1 において、cos(∠AOT1)=LR=2010=21 より、∠AOT1=3π rad。 対称性から ∠AOT2=3π rad であるため、移動する中心角は θ1=32π rad となる。 音源の角速度 ω は、ω=Rv=1034=517 rad/s。 移動にかかる時間 Δt1 は、
Δt1=ωθ1=17/52π/3=5110π sこの間に発せられた音波の位相の変化量を 2π で割った値 N1 は、
N1=f0Δt1=3366×5110π=66×10π=660πよって、k1=660。
5. N2 および k2 の計算
音源が T1 から T2 へ移動する経路は、円の左側の弧である。 移動する中心角は θ2=2π−32π=34π rad となる。 移動にかかる時間 Δt2 は、
Δt2=ωθ2=17/54π/3=5120π sこの間に発せられた音波の位相の変化量を 2π で割った値 N2 は、
N2=f0Δt2=3366×5120π=66×20π=1320πよって、k2=1320。
6. 最終回答の計算
求める値 S は、
S=fmax+fmin+k1+k2=3740+3060+660+1320=8780