方針
被積分関数には複素共役 z が含まれているため、そのままでは正則関数として留数定理を適用できません。
しかし、積分経路が円であることを利用すると、円周上の z を z の有理式に置き換えられます。
さらに、多項式の対数微分を零点ごとの分数に分解し、それぞれの留数を計算します。このとき、留数の一部が相殺されることを利用すると、計算を簡潔に進められます。
1. 複素共役の置き換え
円 C 上では、
∣z−2∣2=9
が成立します。
したがって、
(z−2)(z−2)=9
より、
z=2+z−29
を得ます。
この等式は円周 C 上で成立するため、
I=2πi1∮Cz3(2+z−29)P(z)P′(z)dz
と書き換えられます。
ここで、
F(z)=z3(2+z−29)
とおきます。
また、
z−2z3=z2+2z+4+z−28
なので、
F(z)=H(z)+z−272
と表せます。ただし、
H(z)=2z3+9z2+18z+36
です。
2. 多項式の零点と積分経路
多項式 P(z) の零点は、
z=1±i,z=4±i,z=−2
です。
それぞれの零点と円の中心 z=2 との距離は、
∣(1±i)−2∣∣(4±i)−2∣∣−2−2∣=2=5=4
となります。
円の半径は 3 なので、円内部の零点は
1+i,1−i,4+i,4−i
の4つであり、−2 は円外部にあります。
また、F(z) は z=2 に単純極を持ちます。
円周上には極が存在しないため、留数定理を適用できます。
3. 零点ごとの留数
P(z) の5つの零点はすべて単純零点なので、対数微分の性質より、
P(z)P′(z)=β:P(β)=0∑z−β1
が成立します。
したがって、
I=β:P(β)=0∑2πi1∮Cz−βF(z)dz
となります。
まず、円内部の零点 β について考えます。
このとき、
z−βF(z)
は、円内部の z=β と z=2 に単純極を持ちます。
z=β における留数は、
Resz=βz−βF(z)=F(β)
です。
一方、z=2 における留数は、
Resz=2z−βF(z)=z→2limz−β(z−2)F(z)=2−β72
となります。
したがって、この2つの留数の和は、
F(β)+2−β72
です。
ここで、
F(β)=H(β)+β−272
なので、
F(β)+2−β72=H(β)+β−272+2−β72=H(β)
となります。
つまり、円内部の各零点について、2つの極から生じる分数の項が相殺されます。
次に、円外部の零点 β=−2 について考えます。
この場合、z=−2 は積分経路の外部にあるため、円内部の極は z=2 のみです。
したがって、その留数は、
2−(−2)72=18
となります。
以上より、留数定理から、
I=β:円内部の零点∑H(β)+18
を得ます。
4. 零点のべき乗和
円内部の4つの零点は、
β=1+i,1−i,4+i,4−i
です。
これらの和は、
β∑β=(1+i)+(1−i)+(4+i)+(4−i)=10
となります。
二乗和は、
β∑β2=2(12−12)+2(42−12)=30
です。
三乗和は、
β∑β3=2(13−3⋅1)+2(43−3⋅4)=−4+104=100
となります。
したがって、
β∑H(β)=2β∑β3+9β∑β2+18β∑β+36β∑1=2⋅100+9⋅30+18⋅10+36⋅4=200+270+180+144=794
を得ます。
5. 積分値の計算
以上より、
I=β:円内部の零点∑H(β)+18=794+18=812
となります。
したがって、入力する自然数は
812
です。