Problem Statement
回転する観測台から見たシュレの2つの円運動モード
問題文
猫の「シュレ」は、以前の実験では跳躍運動を質点として解析された。今回は、水平面内で中心力を受けるシュレの運動を、回転する座標系から観測する。
シュレを質点とみなし、水平な空気浮上台の上で運動させる。空気浮上台の中心を O とする。シュレには、中心 O に向かう等方的な弾性力だけが働く。慣性系におけるシュレの位置ベクトルを r とすると、その力は
F=−kr
で表される。
中心 O を原点とする慣性座標系を OXY とする。また、同じ原点をもち、OXY に対して一定の角速度
Ω=Ωez
で反時計回りに回転する座標系を Oxy とする。両座標系の座標軸は時刻 t=0 に一致している。
同じ位置ベクトル r を、回転座標系の単位ベクトル ex(t)、ey(t) を用いて
r=x(t)ex(t)+y(t)ey(t)
と表す。
床との摩擦、空気抵抗、鉛直方向の運動は無視できる。
回転座標系における運動方程式を導き、複素変数
z=x+iy
を用いて円運動型の正規モードを求めよ。
各モードについて、複素解に現れる符号付き角振動数の絶対値を、そのモードの固有角振動数と定義する。大きい方を ωH、小さい方を ωL とする。
制約
- シュレの質量:m=4.00kg
- 等方的な弾性力の比例定数:k=144N/m
- 回転座標系の角速度:Ω=2.50rad/s
入力形式
固有角振動数の比を
ωLωH=qp
とする。ただし、p と q は互いに素な自然数である。
p+q を自然数で入力せよ。
回転座標系における時間微分
同じ幾何学的ベクトル A について、慣性系での時間微分と回転座標系での時間微分の間には、
(dtdA)I=(dtdA)R+Ω×A
という関係があります。
ここで、添字 I は慣性系から見た時間微分、添字 R は回転座標系で成分を微分したものを表します。
位置ベクトル r にこの関係を2回用います。Ω は一定なので、
(dt2d2r)I=(dt2d2r)R+2Ω×(dtdr)R+Ω×(Ω×r)
となります。
回転座標系での運動方程式
慣性系では、シュレに働く水平力は中心向きの弾性力だけなので、
m(dt2d2r)I=−kr
です。
時間微分の変換式を代入すると、
m[(dt2d2r)R+2Ω×(dtdr)R+Ω×(Ω×r)]=−kr
です。
運動は水平面内にあり、
Ω=Ωez
であるため、
Ω×(Ω×r)=−Ω2r
となります。
したがって、回転座標系における運動方程式は、
(dt2d2r)R+2Ω×(dtdr)R+(mk−Ω2)r=0
です。
ここで、
ω0=mk
とおくと、
(dt2d2r)R+2Ω×(dtdr)R+(ω02−Ω2)r=0
と表せます。
成分による運動方程式
回転座標系で、
r=xex+yey
と表します。
回転座標系での速度は、
(dtdr)R=x˙ex+y˙ey
です。
したがって、コリオリ項は、
2Ω×(dtdr)R=−2Ωy˙ex+2Ωx˙ey
となります。
よって、x 成分と y 成分の運動方程式は、
x¨−2Ωy˙+(ω02−Ω2)xy¨+2Ωx˙+(ω02−Ω2)y=0,=0
です。
複素変数による正規モード
複素変数を
z=x+iy
と定義します。
x 成分の式に、y 成分の式の i 倍を加えると、
z¨+2iΩz˙+(ω02−Ω2)z=0
を得ます。
円運動型の正規モードとして、
z(t)=Ae−iσt
を仮定します。ここで、σ は回転方向の情報を含む符号付き角振動数です。
このとき、
z˙=−iσz,z¨=−σ2z
なので、運動方程式への代入により、
−σ2+2Ωσ+ω02−Ω2=0
となります。
これは、
(σ−Ω)2=ω02
と整理できるため、
σ=Ω±ω0
です。
今回の条件では ω0>Ω なので、一方の根は正、もう一方の根は負になります。負号は円運動の向きが反対であることを表します。
各モードの固有角振動数は σ の絶対値と定義されているため、
ωH=ω0+Ω
および、
ωL=ω0−Ω
です。
数値の代入
慣性系における振動の角振動数は、
ω0=mk=4.00kg144N/m=6.00rad/s
です。
したがって、
ωH=6.00+2.50=8.50rad/s
であり、
ωL=6.00−2.50=3.50rad/s
です。
よって、
ωLωH=3.508.50=717
となります。
別解
慣性系では、シュレの運動方程式は、
r¨+ω02r=0
です。
等方的な二次元調和振動の円運動型モードは、反時計回りと時計回りの2種類です。慣性系での複素座標を
Z=X+iY
とすると、それぞれ
Z+(t)=Aeiω0t
および、
Z−(t)=Be−iω0t
と表せます。
回転座標系は慣性系に対して角速度 Ω で反時計回りに回転しています。時刻 t における両座標系の複素座標の関係は、
Z=eiΩtz
です。
したがって、
z=e−iΩtZ
となります。
反時計回りのモードについては、
z+(t)=e−iΩtAeiω0t=Aei(ω0−Ω)t
です。
よって、このモードの固有角振動数は、
ω0−Ω
です。
時計回りのモードについては、
z−(t)=e−iΩtBe−iω0t=Be−i(ω0+Ω)t
です。
よって、このモードの固有角振動数は、
ω0+Ω
です。
したがって、
ωH=ω0+Ω,ωL=ω0−Ω
と直ちに分かります。
以上より、
p=17,q=7
なので、入力すべき自然数は、
p+q=17+7=24
です。
入力すべき自然数は 24 です。