GEO002 問題3
Problem Statement
自由膨張と途中停止する熱接触による圧力の和
問題文
断熱された剛体容器の内部に、気体を通さない三つの小容器A、B、Cが固定されている。容器、小容器、壁、仕切り板の熱容量は無視できるものとする。
小容器Aと小容器Bには、それぞれ気体室と真空室を隔てる薄い仕切り板がある。小容器Cには仕切り板はない。小容器A、B、Cには、それぞれ単原子理想気体A、B、Cが入っており、三つの気体は互いに混ざらない。各小容器内の気体は、それぞれ初期状態で一様な温度をもつ熱平衡状態にある。
小容器Aと小容器Bの間には所定の共通壁があり、この共通壁は小容器Bの気体室に接している。小容器Bと小容器Cの間にも所定の共通壁がある。これらの共通壁は、気体を通さず熱だけを通す状態と、熱も通さない状態を切り替えられる。初期状態では、どちらの共通壁も熱を通さない状態である。切り替え操作によって気体に仕事はされず、外部との熱の出入りもない。熱接触中は、各気体内部の熱伝導が十分速く、各時刻で各気体に一様な温度を割り当てられるものとする。
気体A、B、Cの物質量をそれぞれ nA,nB,nC とする。気体Aの初期体積を VA、仕切り板を取り除いた後に気体Aが占める体積を WA とする。気体Bの初期体積を VB、仕切り板を取り除いた後に気体Bが占める体積を WB とする。気体Cの体積を VC とする。初期温度をそれぞれ TA,TB,TC とする。気体定数を R とし、単原子理想気体の内部エネルギーは
U=23nRTである。
次の操作を順に行う。
小容器Aの仕切り板を瞬時に取り除く。この操作で気体Aに仕事はされず、外部との熱の出入りもない。十分時間がたって、気体Aは体積 WA 全体を占め、熱平衡に達する。
次に、小容器Aと小容器Bの間の共通壁を、気体を通さず熱だけを通す状態に切り替える。この間、気体Aが占める体積は WA、気体Bが占める体積は VB のままである。気体Aと気体Bの圧力が等しくなった瞬間に、共通壁を再び熱を通さない状態に戻す。
次に、小容器Bの仕切り板を瞬時に取り除く。この操作で気体Bに仕事はされず、外部との熱の出入りもない。十分時間がたって、気体Bは体積 WB 全体を占め、熱平衡に達する。
最後に、小容器Bと小容器Cの間の共通壁を、気体を通さず熱だけを通す状態に切り替える。この間、気体Bが占める体積は WB、気体Cが占める体積は VC のままである。十分時間がたって、気体Bと気体Cは共通の温度に達する。その後、共通壁を熱を通さない状態に戻す。
すべての操作後の気体A、B、Cの圧力をそれぞれ PAf,PBf,PCf とする。また、最初の状態における気体Aの圧力を PA0 とする。比
PA0PAf+PBf+PCfを求めよ。
制約
- nA=1.00 mol
- nB=2.00 mol
- nC=1.00 mol
- VA=0.300 m3
- WA=0.400 m3
- VB=0.400 m3
- WB=0.600 m3
- VC=0.500 m3
- TA=900 K
- TB=300 K
- TC=900 K
入力形式
PA0PAf+PBf+PCf を既約分数
qpで表す。入力すべき自然数は
p+qである。
Solution
気体Aの自由膨張
小容器Aの仕切り板を取り除くと、気体Aは真空室へ自由膨張します。このとき気体Aは外部へ仕事をせず、熱の出入りもありません。熱力学第一法則より、気体Aの内部エネルギーは変化しません。
単原子理想気体の内部エネルギーは
U=23nRTなので、内部エネルギーが変化しないことは温度が変化しないことを意味します。したがって、自由膨張後の気体Aの温度は
900 Kのままです。このとき気体Aの体積は
0.400 m3です。
気体Aと気体Bの熱接触
気体Aと気体Bを熱接触させている間、気体Aの体積は WA、気体Bの体積は VB のままです。また、共通壁の熱容量は無視でき、外部との熱の出入りも仕事のやりとりもないので、気体Aと気体Bを合わせた内部エネルギーは保存されます。
圧力が等しくなった瞬間の気体A、Bの温度をそれぞれ TA1,TB1 とします。圧力が等しい条件は、理想気体の状態方程式より
WAnARTA1=VBnBRTB1です。制約の値を代入すると、
0.4001.00TA1=0.4002.00TB1となるので、
TA1=2TB1です。
一方、内部エネルギー保存より
nATA+nBTB=nATA1+nBTB1です。したがって
1.00⋅900+2.00⋅300=1.00TA1+2.00TB1です。TA1=2TB1 を代入すると、
1500=4TB1です。よって
TB1=375 Kであり、
TA1=750 Kです。
この後、気体Aは最後まで断熱された固定体積 WA の中にあるので、最終圧力は
PAf=WAnARTA1です。したがって
PAf=0.4001.00⋅R⋅750=1875Rです。
気体Bの自由膨張
次に、小容器Bの仕切り板を取り除くと、気体Bは真空室へ自由膨張します。この操作でも気体Bは仕事をせず、熱の出入りもありません。したがって、気体Bの温度は
375 Kのままです。
この時点で、気体Bの体積は
WB=0.600 m3になります。
気体Bと気体Cの熱接触
最後に、気体Bと気体Cを熱接触させます。この間、気体Bの体積は WB、気体Cの体積は VC のままです。また、共通壁の熱容量は無視でき、外部との熱の出入りも仕事のやりとりもありません。したがって、気体Bと気体Cを合わせた内部エネルギーは保存されます。
最終共通温度を Tf とすると、
nBTB1+nCTC=(nB+nC)Tfです。制約の値を代入すると、
2.00⋅375+1.00⋅900=(2.00+1.00)Tfです。したがって
Tf=550 Kです。
よって、気体Bの最終圧力は
PBf=WBnBRTfなので、
PBf=0.6002.00⋅R⋅550=35500Rです。
また、気体Cの最終圧力は
PCf=VCnCRTfなので、
PCf=0.5001.00⋅R⋅550=1100Rです。
初期圧力との比
最初の状態における気体Aの圧力は、状態方程式より
PA0=VAnARTAです。したがって
PA0=0.3001.00⋅R⋅900=3000Rです。
求める比は
PA0PAf+PBf+PCf=3000R1875R+35500R+1100Rです。R は約分されるので、
PA0PAf+PBf+PCf=30001875+35500+1100です。分子をまとめると、
1875+35500+1100=35625+5500+3300=314425です。したがって
PA0PAf+PBf+PCf=900014425=360577です。
よって
p=577,q=360です。入力すべき自然数は
p+q=577+360=937です。
入力すべき自然数は
937です。