GBO002 問題10
Problem Statement
暗視スコープの光電面と蛍光面で考える光子増幅
問題文
暗視スコープの入口にある光電面に、波長 λIR の近赤外光が入射する。光電面の仕事関数を W とする。入射光子のエネルギーが仕事関数を上回ると光電子が放出されるが、実際にはすべての光子が電子を放出するわけではない。入射光子のうち割合 q が光電子を放出するものとする。
放出された電子の初運動エネルギーは、加速後の運動エネルギーに比べて十分小さいため無視する。放出された電子は、光電面から蛍光面まで電位差 V によって加速される。電子は途中でエネルギーを失わず、蛍光面に到達したときの運動エネルギーのうち割合 η が可視光のエネルギーに変換され、それがすべて波長 λg の光子として放出されるものとする。
入射した近赤外光子あたり、蛍光面から出る可視光子の平均個数を N とする。N を求めよ。
制約
- λIR=8.00×10−7 m
- λg=5.60×10−7 m
- W=1.25 eV
- V=1.55×103 V
- q=0.200
- η=0.0280
- ehc=1.24×10−6 Vm
入力形式
求めた N に 100 を掛けた値を入力せよ。
Solution
光電子が放出される条件
光電効果では、入射光子のエネルギーが光電面の仕事関数 W より大きいとき、電子を外へ取り出すことができます。
光子のエネルギーは
E=λhcです。これを eV 単位で表すには e で割ればよいので、近赤外光子のエネルギーは
EIR=eλIRhcです。
数値を代入すると、
EIR=8.00×10−71.24×10−6=1.55 eVです。
一方、仕事関数は
W=1.25 eVなので、
EIR>Wが成り立ちます。したがって、この近赤外光は光電面から電子を放出できます。
ただし、現実の光電面では、入射したすべての光子が電子を放出するわけではありません。この問題では、その割合を q として与えています。
加速された電子のエネルギー
電子が電位差 V で加速されると、電子が得るエネルギーは eV です。eV 単位で考えると、電位差 V V によるエネルギー増加は、そのまま V eV です。
問題文より、放出直後の光電子の初運動エネルギーは、加速によって得るエネルギーに比べて十分小さいため無視できます。したがって、蛍光面に到達する電子の運動エネルギー K は、加速電圧によるもののみを考慮すればよく、
K=Vとみなせます。
よって、
K=1.55×103 eVです。
蛍光面で生じる可視光子のエネルギー
蛍光面から出る可視光子のエネルギーを Eg とすると、
Eg=eλghcです。
数値を代入すると、
Eg=5.60×10−71.24×10−6=1431 eVです。
入射光子あたりの平均可視光子数
入射光子 1 個あたり、光電子を放出する平均個数は q です。
放出された電子 1 個は、蛍光面に到達すると運動エネルギー V eV を持ちます。そのうち割合 η が可視光のエネルギーに変換されるので、電子 1 個あたり可視光に変換されるエネルギーは
ηVです。
したがって、入射光子 1 個あたり可視光に変換される平均エネルギーは
qηVです。
可視光子 1 個のエネルギーが Eg なので、入射光子あたりの平均可視光子数 N は
N=EgqηVです。
これに数値を代入すると、
N=31/140.200×0.0280×1.55×103です。
分子は
0.200×0.0280×1.55×103=8.68なので、
N=8.68×3114=3.92です。
したがって、入力すべき値は
100N=392です。
よって、入力すべき自然数は
392です。