GWCS002 問題6
問題文
コンプトン効果と反跳電子の運動量
問題文
静止している質量 m の自由電子に、波長 λ の X 線光子を衝突させたところ、X 線光子は元の進行方向に対して角度 θ だけ散乱され、その波長は λ′ に変化した。この現象をコンプトン効果と呼ぶ。
散乱後の X 線光子の波長 λ′ は、プランク定数 h および真空中における光の速さ c を用いて、次の関係式を満たす。
λ′−λ=mch(1−cosθ)衝突により、電子は X 線光子からエネルギーと運動量を受け取り、反跳電子として弾き出される。衝突前後における系全体の運動量保存則を考えることで、散乱された X 線光子の波長 λ′、衝突前の X 線光子の波長 λ、および散乱角 θ が分かれば、弾き出された反跳電子の運動量の大きさ pe を直接求めることができる。
いま、波長 λ の X 線光子を静止した電子に衝突させたとき、散乱角 θ=90∘ の方向に散乱された X 線光子の波長 λ′ は、元の波長の 100101 倍であった。この衝突において、弾き出された反跳電子の運動量の大きさ pe を、衝突前の X 線光子の運動量の大きさ p を用いて表せ。
制約
- m=9.1×10−31 kg
- c=3.0×108 m/s
- h=6.6×10−34 J⋅s
入力形式
反跳電子の運動量の大きさ pe と、衝突前の X 線光子の運動量の大きさ p の無次元比 ppe を求めたとき、その値は 101N と表すことができる。このときの根号内の自然数 N の値を入力せよ。
解説
解説
運動量保存則のベクトル合成
衝突前の X 線光子の運動量ベクトルを p、散乱後の X 線光子の運動量ベクトルを p′、反跳電子の運動量ベクトルを pe とします。 衝突前の電子は静止していたため、衝突前後の運動量保存則はベクトル式で次のように表されます。
p=p′+peこれを反跳電子の運動量について整理します。
pe=p−p′双方の大きさと散乱角 θ の関係を得るために、この両辺の自己内積(2乗)を計算します。
∣pe∣2=(p−p′)⋅(p−p′) pe2=p2+(p′)2−2pp′cosθ問題条件より散乱角は θ=90∘ であるため、 cos90∘=0 となり、上記の運動量の関係式は次のように単純な三平方の定理の形に帰着されます。
pe2=p2+(p′)2光子の運動量と波長の関係
光子の運動量の大きさは波長に反比例するため、衝突前後の光子の運動量の大きさ p および p′ は次の通りです。
p=λh,p′=λ′h問題文の条件より、散乱後の波長は λ′=100101λ と与えられているため、運動量 p′ は p を用いて次のように表現できます。
p′=100101λh=101100λh=101100p反跳電子の運動量の算出
得られた p′ の関係式を、先ほどの運動量保存則の式に代入します。
pe2=p2+(101100p)2 pe2=p2(1+101210000) pe2=p2(10121012+10000)ここで、 1012=(100+1)2=10000+200+1=10201 です。これを分子に代入して整理します。
pe2=p2(101210201+10000)=p2(101220201)両辺の平方根をとることで、反跳電子の運動量の大きさ pe が求まります。
pe=p10120201したがって、求める運動量の比 ppe は次のようになります。
ppe=10120201入力数の決定
入力形式の指定に定義された表現 101N と比較すると、根号内の自然数 N は 20201 と定まります。
入力すべき自然数は 20201 です。