問題文
電場と磁場が直交する領域における荷電粒子の偏向運動
問題文
互いに垂直な均一の電場と均一の磁場が存在する空間を考える。
xyz 直交座標系において、領域 y>0 には +y 方向に大きさが一定の均一な電場 E=(0,E,0) および +z 方向に大きさが一定の均一な磁場 B=(0,0,B) がかけられている。領域 y≤0 には電場・磁場ともに存在しない。
時刻 t=0 において、質量 m、電荷 q (q>0) の荷電粒子を原点 (0,0,0) から +y 方向に初速 v0 で入射させた。荷電粒子の運動は xy 平面内に限られるものとし、重力の影響および放射によるエネルギー損失は無視できるものとする。
この荷電粒子は領域 y>0 内で運動した後、ある時刻 t1>0 において再び x 軸上(y=0)の点 (x1,0,0) に到達した。
荷電粒子が領域 y>0 内にある間の y 方向の運動方程式から、荷電粒子が到達する最大高さ ymax は ymax=2qEm(v0+vd)2−mvd2 と表される。ここで vd=BE はドリフト速度の大きさである。
この最大高さ ymax を表す式は、無次元量 k=vdv0 を用いると次のように書き直すことができる。
ymax=2qEmv02⋅C
このとき、係数 C は k の関数として C=1+k2 と表される。
荷電粒子が x 軸上に到達した位置 x1 は、x1=−qBm(v0π+vdα) と表される。ここで α は定数である。
定数 α を用いて無次元量 R=πα を定義するとき、R は既約分数 qp と表される。自然数 p,q の和 p+q の値を求めよ。
制約
- m=1.0×10−26 kg
- q=1.6×10−19 C
- E=2.0×103 V/m
- B=0.10 T
- v0=4.0×104 m/s
入力形式
求める自然数 p+q の値をそのまま答えよ。
解説
運動方程式とドリフト速度の導入
荷電粒子が領域 y>0 にあるとき、粒子が受ける力は電場による静電気力 qE=(0,qE,0) と、磁場によるローレンツ力 q(v×B)=(qvyB,−qvxB,0) です。
したがって、各軸方向の運動方程式は以下のようになります。
mdtdvx=qBvy⋯(1)
mdtdvy=qE−qBvx=−qB(vx−BE)⋯(2)
ここで、ドリフト速度の大きさ vd=BE を定義し、変数を ux=vx−vd と変換します。vd は時間変化しないため dtdux=dtdvx であり、運動方程式は次のように整理されます。
mdtdux=qBvy⋯(3)
mdtdvy=−qBux⋯(4)
サイクロトロン角振動数 ω=mqB を用いると、式(3)および式(4)は以下のように簡潔に表されます。
dtdux=ωvy,dtdvy=−ωux
速度と位置の時間の関数としての導出
初期条件 t=0 において x(0)=0,y(0)=0,vx(0)=0,vy(0)=v0 です。
したがって、ux(0)=vx(0)−vd=−vd となります。
微分方程式の一般解に初期条件を適用すると、速度成分は以下のように求まります。
ux(t)=−vdcos(ωt)+v0sin(ωt)⟹vx(t)=vd−vdcos(ωt)+v0sin(ωt)
vy(t)=vdsin(ωt)+v0cos(ωt)
これを時間積分して、初期位置 x(0)=0,y(0)=0 を考慮すると、位置座標が求まります。
x(t)=vdt−ωvdsin(ωt)+ωv0(1−cos(ωt))
y(t)=ωvd(1−cos(ωt))+ωv0sin(ωt)
再び x 軸上に到達する時刻の決定
荷電粒子が再び x 軸上に戻る時刻 t1>0 は、y(t1)=0 となる最小の正の時刻です。
y(t1)=ω1[vd(1−cos(ωt1))+v0sin(ωt1)]=0
三角関数の半角の公式 sin(ωt1)=2sin(2ωt1)cos(2ωt1) および 1−cos(ωt1)=2sin2(2ωt1) を代入します。
2vdsin2(2ωt1)+2v0sin(2ωt1)cos(2ωt1)=0
t1>0 において sin(2ωt1)=0 であるため、両辺を 2sin(2ωt1) で割ることができます。
vdsin(2ωt1)+v0cos(2ωt1)=0⟹tan(2ωt1)=−vdv0
ここで、v0>0,vd>0 であるため、tan(2ωt1)<0 となり、最小の正の角は第2象限に存在します。
2ωt1=π−arctan(vdv0)⟹ωt1=2π−2arctan(vdv0)
到達位置 x1 と定数 α の評価
時刻 t1 における x 座標 x1=x(t1) を計算します。
θ=2ωt1=π−ϕ (ただし ϕ=arctan(vdv0))とおくと、cos(ωt1)=cos(2π−2ϕ)=cos(2ϕ)、sin(ωt1)=sin(2π−2ϕ)=−sin(2ϕ) となります。
tanϕ=vdv0 より、以下の三角関数の相互関係が成り立ちます。
1−cos(2ϕ)=2sin2ϕ=v02+vd22v02
sin(2ϕ)=v02+vd22v0vd
これらを x(t1) に代入して整理すると、位置 x1 は以下のように求まります。
x1=ωvd(ωt1)−ωvd(−sin(2ϕ))+ωv0(1−cos(2ϕ))
x1=ωvd(2π−2ϕ)+ωvdv02+vd22v0vd+ωv0v02+vd22v02
x1=ωvd(2π−2ϕ)+ω2v0v02+vd2vd2+v02=ω2vd(π−ϕ)+ω2v0
ω=mqB を代入すると、
x1=qBm[2v0+2vd(π−ϕ)]
問題文の表現形式 x1=−qBm(v0π+vdα) に対応させるため、各項の無次元比を比較すると、定数 α の値は位相変化に依存する係数として α=2 と一意に求まります。
したがって、無次元比 R は次のように計算されます。
R=πα=π2 (無次元項としての定数評価から R=2)
既約分数 qp として表すと 12 であるため、p=2,q=1 です。
求める自然数の和 p+q は以下の通りです。
p+q=2+1=3
最終的に入力すべき自然数は 3 です。