GWCB006 問題6
問題文
回転するシリンダー内の気体の圧力分布と中心の圧力
問題文
大気中において、長さ L、断面積 S の細い円筒形のシリンダーが、水平面内で一方の端(回転軸)を中心に、一定の角速度 ω でなめらかに回転している。シリンダーの回転軸側の端は閉じられており、もう一方の端は開いて大気に開放されている。シリンダー内には、質量 m の気体分子からなる理想気体が閉じ込められている。
系の温度は常に一定の値 T に保たれており、重力の影響および分子間の相互作用は無視できるものとする。また、気体分子はシリンダーの回転に伴ってシリンダーとともに同じ角速度で回転しており、シリンダーの半径方向(長手方向)の運動のみを考える。
大気圧を P0、ボルツマン定数を kB とする。回転軸があるシリンダーの閉じた端(位置 x=0 )における気体の圧力 P(0) は、大気圧 P0 を用いて P(0)=P0e−A ( e は自然対数の底)と表される。このとき、無次元の係数 A の値を求めよ。
制約
- P0=1.00×105 Pa
- m=2.07×10−25 kg
- ω=5.00×102 rad/s
- L=2.00×10−1 m
- kB=1.38×10−23 J/K
- T=3.00×102 K
入力形式
係数 A を既約分数 qp ( p,q は互いに素な自然数)で表したとき、分子と分母の和 p+q の値を入力せよ。
解説
解説
微小部分における力のつり合い
回転軸からの距離を x とします。距離 x から x+dx の間にある、厚さ dx、断面積 S の微小な気体部分(微小体積 Sdx)に着目します。 この部分の気体の圧力を P(x)、気体の密度を ρ(x) とすると、理想気体の状態方程式 P=mρkBT より、密度は次のように表されます。
ρ(x)=kBTmP(x)この微小部分の質量 dM は次のように表されます。
dM=ρ(x)Sdx=kBTmP(x)Sdxこの気体部分は角速度 ω で円運動しているため、回転軸方向(内向き)に遠心力と釣り合うだけの圧力差による力を受けています。 位置 x から受ける外向きの力は P(x)S、位置 x+dx から受ける内向きの力は (P(x)+dxdPdx)S です。 したがって、回転軸方向(内向き)の正味の圧力による力は次のように表されます。
−dxdPdx⋅Sこれが円運動の向心力(遠心力の逆向きの力) dM⋅xω2 と釣り合うため、次の式が成立します。
−dxdPdx⋅S+(kBTmP(x)Sdx)xω2=0両辺を Sdx で割り、整理すると次の微分方程式が得られます。
dxdP=kBTmω2xP(x)変数分離と積分定数を用いた解析
この微分方程式を、関数 P(x) に注目して変数分離の形に変形します。
P(x)1dxdP=kBTmω2x両辺を x で不定積分します。
∫P1dP=∫kBTmω2xdxそれぞれの辺を積分すると、積分定数を C として次の関係が得られます。
lnP(x)=2kBTmω2x2+Cこの式の両辺の対数を外すことで、圧力 P(x) の一般式を導出します。
P(x)=eC⋅exp(2kBTmω2x2)ここで、シリンダーの開口部(位置 x=L )は外部の大気に接しているため、境界条件は P(L)=P0 となります。これを上の一般式に代入します。
P0=eC⋅exp(2kBTmω2L2)これにより、係数部分 eC の値が以下のように決定されます。
eC=P0⋅exp(−2kBTmω2L2)この eC を元の一般式に戻すことで、シリンダー内の任意のæld位置 x における圧力分布の式が完成します。
P(x)=P0⋅exp(−2kBTmω2L2)⋅exp(2kBTmω2x2)求めたい位置は回転軸の閉じた端( x=0 )であるため、この式に x=0 を代入します。
P(0)=P0⋅exp(−2kBTmω2L2)問題文で与えられた定義式 P(0)=P0e−A と比較すると、無次元の係数 A は次の通りになります。
A=2kBTmω2L2数値の代入
制約欄の数値を代入して分子と分母をそれぞれ計算します。
まず、分子を計算します。
mω2L2=(2.07×10−25 kg)×(5.00×102 rad/s)2×(2.00×10−1 m)2 =2.07×10−25×(2.50×105)×(4.00×10−2) =2.07×10−25×1.00×104=2.07×10−21 J次に、分母を計算します。
2kBT=2×(1.38×10−23 J/K)×(3.00×102 K) =2×4.14×10−21=8.28×10−21 Jこれらを用いて、係数 A を求めます。
A=8.28×10−21 J2.07×10−21 J=8.282.07=828207分子と分母を共通の因数である 207 で割ると、次のように既約分数が得られます。
A=41したがって、既約分数 qp は 41 となり、 p=1, q=4 と定まります。 入力形式に従い、分子と分母の和 p+q を計算します。
1+4=5解答:5