GWCA003 問題4
問題文
極低光速世界における正負質量粒子の非弾性相対論的衝突と静止質量変化
問題文
光速 c が極端に遅く、かつ負の質量をもつ物質が安定して存在する仮想的な物理空間を考える。この空間における特殊相対性理論(ローレンツ因子 γ、相対論的運動量 p=γmv、および相対論的全エネルギー E=γmc2 の定義式)は、質量の符号(正負)に関わらず、通常の物理学の数理形式がそのまま適用されるものとする。
二次元の無限に広い真空平面( xy 平面)を考える。 この平面上において、時刻 t<0 では、以下の2つの粒子が互いに異なる方向から原点( x=0,y=0 )に向かって等速直線運動していた。
- 粒子 P(正の質量): 静止質量は M=8.00×10−27 kg (正の値)であり、 x 軸の正の向きに速度 v=4.80×107 m/s で運動している。
- 粒子 N(負の質量): 静止質量は m=−2.50×10−26 kg (負の値)であり、 y 軸の負の向きに速度 v=4.80×107 m/s で運動している。
時刻 t=0 において、粒子 P と粒子 N は原点で完全に衝突し、合体して1つの複合粒子 C となった(完全非弾性衝突)。衝突の前後において、外部からの力(外力)の作用や、電磁波・重力波などの放射によるエネルギーおよび運動量の損失はすべて無視できるものとする。
衝突・合体によって生成された複合粒子 C の静止質量を MC とするとき、 MC の値を求めよ。
制約
- 光速: c=8.00×107 m/s
- 粒子 P の静止質量: M=8.00×10−27 kg
- 粒子 P の初期速度ベクトル: vP=(4.80×107,0) m/s
- 粒子 N の静止質量: m=−2.50×10−26 kg=−25.00×10−27 kg
- 粒子 N の初期速度ベクトル: vN=(0,−4.80×107) m/s
入力形式
求める複合粒子 C の静止質量 MC は、ある整数 A0 を用いて MC=A0×10−27 kg と表すことができる。 A0 の符号(正負)に応じ、以下の規則に従って算出される自然数の値を答えよ。
- A0 が正の数の場合: A0
- A0 が負の数の場合: −100A0
解説
解説
衝突前の各粒子の相対論的状態量
光速 c=8.00×107 m/s に対し、両粒子の速さは v=4.80×107 m/s で共通しています。 まず、速度比 β およびローレンツ因子 γ を計算します。 β=cv=8.00×1074.80×107=0.60=53 γ=1−β21=1−0.361=0.801=1.25=45
これを用いて、衝突前(初期状態)の各粒子の相対論的全エネルギー E および相対論的運動量ベクトル p=(px,py) を求めます。共通の係数として c および静止質量の次元 ×10−27 kg を用いて処理します。
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粒子 P (正の質量: M=8.00×10−27 kg)
- 全エネルギー: EP=γMc2=1.25×(8.00×10−27)×c2=10.00×10−27c2 [J]
- 運動量ベクトル( x 軸正の向き): pP,x=γMv=γMβc=1.25×(8.00×10−27)×0.60×c=6.00×10−27c [kg⋅m/s] pP,y=0 pP=(6.00,0)×10−27c
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粒子 N (負の質量: m=−25.00×10−27 kg)
- 全エネルギー: EN=γmc2=1.25×(−25.00×10−27)×c2=−31.25×10−27c2[J]
- 運動量ベクトル( y 軸負の向きに運動するため、速度の成分は負、質量も負。したがって運動量成分は正になります): pN,x=0 pN,y=γm(−v)=1.25×(−25.00×10−27)×(−0.60c)=+18.75×10−27c [kg⋅m/s] pN=(0,18.75)×10−27c
相対論的保存則の適用
[cite_start]衝突・合体に際して、系の「全エネルギー」および「全運動量ベクトル」がそれぞれ完全に保存されます 。合体後の複合粒子 C の全エネルギーを EC、運動量ベクトルを pC とします。
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エネルギー保存則: EC=EP+EN=(10.00−31.25)×10−27c2=−21.25×10−27c2
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運動量保存則: pC=pP+pN=(6.00,18.75)×10−27c
これより、合体後の複合粒子 C の運動量の大きさの二乗 pC2 を計算します。 pC2=pC,x2+pC,y2=(6.002+18.752)×10−54c2 6.002=36.00 18.752=351.5625 pC2=(36.00+351.5625)×10−54c2=387.5625×10−54c2
相対論的不変量による静止質量 MC の決定
特殊相対性理論において、全エネルギー E と運動量の大きさ p の間には、以下の普遍的な不変関係式が成立します。 c2E2−p2=m02c2 複合粒子 C にこの関係式を適用し、静止質量 MC を導出します。 (cEC)2−pC2=MC2c2
左辺の各項に、求めた保存量を代入します(共通因数の 10−54c2 を外に出して計算します)。 (cEC)2=(−21.25×10−27c)2=451.5625×10−54c2 pC2=387.5625×10−54c2
これらを不変量の式に代入して差を求めます。 MC2c2=(451.5625−387.5625)×10−54c2=64.0000×10−54c2
両辺を c2 で割ることで、複合粒子の静止質量の二乗が一意に決定されます。 MC2=64.00×10−54 kg2
ここで、合体後の全エネルギー EC が負( −21.25×10−27c2 )であるため、この複合粒子は負のエネルギー状態、すなわち「負の静止質量」を持つ粒子となります( MC<0 )。したがって、平方根を解くと静止質量は以下の通りになります。 MC=−8.00×10−27 kg
自然数化
得られた静止質量 MC=−8.00×10−27 kg を MC=A0×10−27 kg の形式と比較すると、整数 A0 の値は次のようになります。 A0=−8
A0 は負の数であるため、入力形式に指定された以下の規則を適用します。
- A0 が負の数の場合: −100A0
[cite_start]値を代入して最終的な自然数を算出します 。 −10×(−8)=800
解答:800