GWCA003 問題2
問題文
負の質量を持つ粒子の一様電場内における等加速度運動と系のエネルギー
問題文
質量および電荷の概念が拡張された仮想的な物理空間を考える。この空間には、通常の正の質量を持つ物質だけでなく、慣性質量および重力質量がともに負の値をとる「負の質量」の物質が存在する。この空間における運動方程式、電荷が電場から受ける力、および運動エネルギーの定義式は、質量の符号(正負)に関わらず、通常の物理学の数理形式がそのまま適用されるものとする。
いま、無限に広い真空空間に、位置によらず常に一定で一様な電場が存在している。電場の方向を x 軸の正の向きとする。 この空間に、正の質量 M と正の電荷 Q を持つ粒子 P と、負の質量 m ( m<0 )と正の電荷 q を持つ粒子 N を置く。
時刻 t=0 において、粒子 P と粒子 N はともに原点 x=0 に静止していた。その後、両粒子は一様な電場から力を受け、それぞれ x 軸上を等加速度直線運動し始めた。ただし、粒子 P と粒子 N の間に働く万有引力および静電気力、ならびに各粒子が運動することによって生じる磁場や電磁波の放射の影響はすべて無視できるものとする。
粒子 P の運動エネルギーを KP、粒子 N の運動エネルギーを KN とするとき、時刻 t=0 から時間が経過しても、両粒子の運動エネルギーの総和が常に KP+KN=0 を満たし続けるような、粒子 N の電荷 q を求めよ。
制約
- M=2.00×10−27 kg
- m=−3.00×10−27 kg
- Q=1.60×10−19 C
入力形式
求める粒子 N の電荷 q の値は、整数 A0,B0,C0 を用いて q=C0A0B0×10−19 C と表すことができる。ただし、 B0 はこれ以上簡単にならない(平方因数を持たない)正の整数とし、 C0A0 は互いに素な既約分数であるとする。このとき、 (A02×B0)×C03 の値を計算し、得られる自然数を答えよ。
解説
解説
各粒子の運動方程式と加速度
x 軸の正の向きに強さ E の一様な電場が存在するため、電荷が電場から受ける力は、その電荷の符号が正であれば x 軸の正の向きに働きます。
正の質量を持つ粒子 P の運動方程式は次のようになります。
MaP=QEしたがって、粒子 P の加速度 aP は次の通りです。
aP=MQEM>0,Q>0,E>0 であるため、 aP>0 となり、粒子 P は x 軸の正の向きに加速します。
一方、負の質量を持つ粒子 N の運動方程式は次のようになります。
maN=qEしたがって、粒子 N の加速度 aN は次の通りです。
aN=mqEここで、粒子 N の質量は m<0 であり、求める電荷は q>0 であるため、加速度は aN<0 となります。つまり、粒子 N は x 軸の正の向き(電場の向き)に力を受けているにもかかわらず、質量が負であるために x 軸の負の向きへと加速していくという運動を始めます。
任意の時刻における速度
両粒子とも時刻 t=0 において静止していたため、任意の時刻 t におけるそれぞれの速度 vP,vN は、加速度に時間を掛けることで次のように表されます。
vP=aPt=MQEt vN=aNt=mqEt運動エネルギーの総和に関する条件
各粒子の運動エネルギーの定義式 K=21mv2 をそのまま適用します。 粒子 P の運動エネルギー KP は次のようになります。
KP=21MvP2=21M(MQEt)2=2MQ2E2t2粒子 N の運動エネルギー KN は次のようになります。
KN=21mvN2=21m(mqEt)2=2mq2E2t2ここで、 m<0 であるため、粒子 N の運動エネルギー KN は速度を持てば持つほどマイナスに大きくなります。
問題の条件より、任意の時刻 t において運動エネルギーの総和が 0 に保たれるため、次の関係式が成り立ちます。
KP+KN=0 2MQ2E2t2+2mq2E2t2=0この式が任意の時刻 t で成立するためには、 t2 および共通の係数 2E2 を除いた以下の関係式が導かれます。
MQ2+mq2=0 mq2=−MQ2両辺に m を掛けます。 m<0 であるため、右辺は正の値になります。
q2=−MmQ2=M∣m∣Q2q>0 より、平方根をとることで電荷 q の満たすべき条件が得られます。
q=QM∣m∣数値の代入と自然数化
制約に示された各数値を代入します。
M∣m∣=2.00×10−273.00×10−27=23これより、
q=1.60×10−19×23=58×23×10−19=5283×10−19 C分母を有利化します。分子と分母に 2 を掛けることで、分数部分を整理します。
q=5×286×10−19=1086×10−19=546×10−19 Cこの結果を、入力形式で指定された q=C0A0B0×10−19 C の形と比較します。
A0=4,B0=6,C0=5ここで、 B0=6 はこれ以上簡単にならない整数であり、 C0A0=54 は互いに素な既約分数であるため、すべての指定を満たしています。
指定された演算 (A02×B0)×C03 を実行します。
A02×B0=42×6=16×6=96 C03=53=125したがって、求める自然数は次の通りになります。
(A02×B0)×C03=96×125=12,000解答:12000