問題文
マクスウェル方程式によるマクスウェルの応力と静電吸引力の導出
問題文
真空中に、面積が十分に広い2枚の完全導体平板が、距離 d 離れて互いに平行に置かれている。この2枚の導体平板間に直流電源を接続し、極板間に一定の電位差 V を与えた。極板間は真空(誘電率 ε0)で満たされている。
導体平板の面積を S とし、端効果(エッジ効果)はすべて無視できるものとする。また、極板間の電場ベクトル E=(Ex,Ey,Ez) は一様であり、極板の法線方向(x 軸方向)を向いているとする。
マクスウェル方程式および電磁気学の一般論から、真空中のマクスウェルの応力テンソル T の各成分 Tij (i,j∈{x,y,z}) は、電場ベクトルを用いて以下のように定義される。
Tij=ε0(EiEj−21δij∣E∣2)
ここで、δij はクロネッカーのデルタを表す。
一方の導体平板が他方の導体平板から受ける x 軸方向の静電吸引力の大きさ F は、極板を囲む閉曲面 A 上でマクスウェルの応力テンソルの法線成分を積分することによって、次のように厳密に計算できる。
F=∮A∑jTxjnjdR
ここで、n=(nx,ny,nz) は閉曲面 A の外向き単位法線ベクトルである。
このテンソル計算を用いて、法線成分 Txx を ε0,V,d を用いて表し、これをもとに一方の極板が受ける全体の静電吸引力の大きさ F を表す文字式を導出せよ。
制約
- ε0=8.85×10−12 F/m
- S=0.500 m2
- V=3000 V
- d=2.00×10−3 m
入力形式
導出した静電吸引力の大きさ F [N] を計算すると、 A×10−6 N となる。このときの係数 A の値を求め、その値を表す自然数を入力せよ。
解説
マクスウェルの応力テンソル成分の計算
問題の設定より、極板間に生じる一様電場は x 軸方向のみに成分を持ちます。すなわち、電場ベクトルは次のように表されます。
E=(Ex,0,0)
電位差が V、極板間隔が d であるため、その大きさ Ex は次のようになります。
Ex=dV
マクスウェルの応力テンソルの x 軸方向の法線成分 Txx を定義式から計算します。i=x,j=x のとき、 δxx=1 および ∣E∣2=Ex2 となるため、次式が得られます。
Txx=ε0(ExEx−21δxx∣E∣2)=ε0(Ex2−21Ex2)=21ε0Ex2
Txx=21ε0(dV)2
その他の成分について、 j=x のときは Ey=0,Ez=0 かつ δxj=0 となるため、 Txy=0,Txz=0 となります。
閉曲面積分による力の算出
極板全体を包み込むような薄い直方体の閉曲面 A を考えます。極板の内側(電場が存在する空間)に向いた面では、外向き単位法線ベクトルは n=(1,0,0) または n=(−1,0,0) となります。極板の裏側(導体の内部または外側)では電場が 0 であるため、応力テンソルの成分も 0 です。また、側面積分は端効果を無視するため寄与しません。
したがって、電場が存在する側の面(面積 S)からの寄与のみが残り、 x 軸方向の力 F は次のように面積分を単純な積の形で実行できます。
F=Txx×S=21ε0S(dV)2
この結果は、エネルギー法(静電エネルギーの仮想変位による微分)から導かれる平行板コンデンサーの極板間引力の式と厳密に一致します。
数値代入と計算
与えられた制約の数値を代入します。
Ex=dV=2.00×10−33000=1.50×106 V/m
Ex2=(1.50×106)2=2.25×1012 V2/m2
これらを用いて力 F を計算します。
F=21×(8.85×10−12)×0.500×(2.25×1012)
F=21×0.500×8.85×2.25×10−12×1012
F=0.250×19.9125=4.978125 N
入力形式は A×10−6 N であるため、単位と桁数を合わせます。
F=4.978125 N=4978125×10−6 N
したがって、係数 A は 4978125 となります。
解答:4978125