GSO012 問題5
問題文
試料直前で減速される電子ビーム
問題文
真空中の電子銃から電子を放出する。電子の放出直後の運動エネルギーは無視できるものとする。
電子銃の陰極の電位を −Va、その先に置かれた金属電極の電位を 0V とする。電子はこの電位差によって加速された後、電極の開口部を通過して試料へ向かう。
試料には負のバイアス電圧がかけられており、その電位は −Vr である。このため、負電荷をもつ電子は試料へ近づく途中で減速される。
電極を通過した後、試料による減速電場へ入る直前の位置Aの電位を 0V とみなせるものとする。位置Aにおける電子のド・ブロイ波長を λ1、試料表面に到達する直前のド・ブロイ波長を λ2 とする。
電子と残留気体との衝突、放射によるエネルギー損失、重力の影響は無視できるものとする。また、電子の運動は非相対論的に扱えるものとする。
制約
- Va=96V
- Vr=37V(正確な値)
入力形式
比
λ12λ22を既約分数 qp と表す。
p+q を自然数で入力せよ。
解説
位置Aにおける運動エネルギー
電子の電気量を −e とします。ただし e>0 です。
電位 V にある電子の電気的位置エネルギーは、
U=−eVです。
電子は電位 −Va の陰極から、電位 0V の位置Aまで移動します。衝突や放射によるエネルギー損失を無視できるため、位置エネルギーの減少分だけ運動エネルギーが増加します。
したがって、位置Aにおける運動エネルギー K1 は、
K1=eVaです。
よって、
K1=96eVとなります。
試料表面直前での運動エネルギー
電子は位置Aから、電位 −Vr の試料へ向かいます。
この移動では電位が Vr だけ低下するため、負電荷をもつ電子の電気的位置エネルギーは増加し、その分だけ運動エネルギーが減少します。
したがって、
K2=eVa−eVr=e(Va−Vr)です。
数値を代入すると、
K2=(96−37)eV=59eVとなります。
Vr<Va なので K2>0 であり、電子は減速されながらも試料まで到達できます。
ド・ブロイ波長との関係
電子の運動量の大きさを P とすると、ド・ブロイ波長は、
λ=Phです。
非相対論的な運動では、
K=2mP2なので、
P2=2mKです。
したがって、
λ2=P2h2=2mKh2となります。
同じ電子について比較するので、
λ2∝K1です。
よって、
λ12λ22=K2K1=5996となります。
96 と 59 は互いに素なので、
p=96,q=59です。
したがって、
p+q=96+59=155となります。
入力すべき自然数は、
155です。