GSO012 問題10
問題文
二連リンクばね振動器の固有モード
問題文
水平な実験台の上に、2本の一様な細い剛体棒を直列に連結した小振動実験装置がある。
第1の棒を OA、第2の棒を AB とする。2本の棒の長さはいずれも ℓ、質量はそれぞれ m1,m2 とする。
点 O は実験台に固定されており、第1の棒は O を通り実験台に垂直な回転軸のまわりを自由に回転できる。点 A では2本の棒が摩擦のない回転軸によって連結されており、第1の棒と第2の棒は互いに自由に回転できる。棒は実験台に平行な水平面内だけを運動するため、重力による位置エネルギーの変化は考えなくてよい。
実験台上に xy 座標をとり、点 O を原点とする。平衡状態では、O,A,B はこの順に x 軸正方向へ一直線上に並んでいる。
第1の棒上で、点 O から距離 a の位置に点 P をとる。点 P には、ばね定数 k1、自然長 L1 の軽い線形ばね1の一端を取り付け、他端を実験台上の固定点 C に取り付ける。平衡状態では、点 C は点 P から y 軸正方向へ距離 L1 だけ離れており、ばね1は自然長である。
また、第2の棒の端点 B には、ばね定数 k2、自然長 L2 の軽い線形ばね2の一端を取り付け、他端を実験台上の固定点 D に取り付ける。平衡状態では、点 D は点 B から y 軸正方向へ距離 L2 だけ離れており、ばね2も自然長である。
両ばねの端部は自由に回転できるよう取り付けられており、ばねはその両端を結ぶ方向にのみ力を及ぼすものとする。考える範囲では、両ばねは引張・圧縮のいずれに対してもフックの法則に従う。
棒、ばね、回転軸どうしは互いに干渉せず、回転軸の摩擦、空気抵抗、ばねの質量は無視できるものとする。
第1の棒が x 軸となす角を θ1、第2の棒が x 軸となす角を θ2 とし、いずれも反時計回りを正とする。θ2 は第1の棒に対する相対角ではなく、x 軸から測った第2の棒の絶対角である。
平衡状態
θ1=θ2=0の近くで小振動を考える。θi および θ˙i を同程度の微小量とみなし、ラグランジアンについてこれらの2次までの項を残し、3次以上の項を無視する。
ラグランジュ方程式から得られる2つの固有角振動数を ω−<ω+ とする。
制約
- m1=0.200kg
- m2=0.150kg
- ℓ=0.300m
- a=0.100m
- k1=12N/m
- k2=18N/m
入力形式
無次元比
ω−2ω+2を求める。
これを
sp+qrと表す。ただし p,q,r,s は正の整数、r は平方因子をもたず、
gcd(p,q,s)=1とする。
p+q+r+s を自然数で入力せよ。
解説
一般化座標
一般化座標として、
θ=(θ1θ2)を用います。
ラグランジアン
L=T−Vを2次の微小量まで求め、ラグランジュ方程式から小振動の運動方程式を導きます。
運動エネルギー
第1の棒は固定点 O のまわりを回転します。
一様な棒の端まわりの慣性モーメントは、
I1=31m1ℓ2なので、
T1=21I1θ˙12=61m1ℓ2θ˙12です。
第2の棒の重心位置は、
x2y2=ℓcosθ1+2ℓcosθ2,=ℓsinθ1+2ℓsinθ2です。
これを時間微分すると、重心速度の2乗は、
v22=ℓ2θ˙12+4ℓ2θ˙22+ℓ2θ˙1θ˙2cos(θ1−θ2)となります。
第2の棒の重心まわりの慣性モーメントは、
IG=121m2ℓ2なので、
T2=21m2v22+21IGθ˙22です。
ここで、
cos(θ1−θ2)=1−21(θ1−θ2)2+⋯です。
θ˙1θ˙2 自体が2次の微小量なので、右辺第2項を掛けたものは4次となり、2次のラグランジアンには寄与しません。
したがって、この項では、
cos(θ1−θ2)≃1としてよいです。
以上より、
T=T1+T2=21(3m1+m2)ℓ2θ˙12+213m2ℓ2θ˙22+2m2ℓ2θ˙1θ˙2となります。
したがって、
T=21θ˙TMθ˙と書けば、
M=ℓ23m1+m22m22m23m2です。
ばね1の位置エネルギー
角度がゼロの平衡状態では、
P=(a,0),C=(a,L1)です。
第1の棒が角度 θ1 だけ回転すると、
P=(acosθ1, asinθ1)となります。
したがって、ばね1の長さ l1 は、
l1=(a−acosθ1)2+(L1−asinθ1)2です。
小角展開すると、
l1−L1=−aθ1+O(θ12)となります。
ばね1は平衡状態で自然長なので、位置エネルギーの2次までを残せば、
V1=21k1a2θ12です。
ばね2の位置エネルギー
端点 B の位置は、
B=(ℓcosθ1+ℓcosθ2,ℓsinθ1+ℓsinθ2)です。
平衡状態では、
B=(2ℓ,0),D=(2ℓ,L2)です。
点 B の y 方向変位は、
ℓsinθ1+ℓsinθ2=ℓ(θ1+θ2)+O(θ3)となります。
一方、x 方向変位は、
xB−2ℓ=ℓ(cosθ1+cosθ2−2)=O(θ2)であり、ばね2の長さの1次変化には寄与しません。
ばね2は平衡状態で y 軸方向を向き、自然長であるため、その長さの変化は1次までで、
Δl2=−ℓ(θ1+θ2)+O(θ2)です。
したがって、
V2=21k2ℓ2(θ1+θ2)2となります。
よって全位置エネルギーは、
V=21k1a2θ12+21k2ℓ2(θ1+θ2)2です。
これを、
V=21θTKθと書けば、
K=(k1a2+k2ℓ2k2ℓ2k2ℓ2k2ℓ2)となります。
ラグランジュ方程式
2次までのラグランジアンは、
L=21θ˙TMθ˙−21θTKθです。
ラグランジュ方程式から、
Mθ¨+Kθ=0を得ます。
数値を代入すると、
M=20003940002740002720009kgm2であり、
K=5087508150815081kgm2/s2となります。
固有角振動数
正規モードとして、
θ=ueiωtを仮定します。
これを運動方程式へ代入すると、
(K−ω2M)u=0です。
非自明な振幅 u が存在する条件は、
det(K−ω2M)=0です。
計算すると、
ω4−416s−2ω2+4608s−4=0となります。
したがって、
ω−2=(208−16151)s−2および、
ω+2=(208+16151)s−2を得ます。
固有角振動数の比
求める比は、
ω−2ω+2=208−16151208+16151です。
16 で約分して分母を有理化すると、
ω−2ω+2=13−15113+151=132−151(13+151)2=9160+13151となります。
したがって、
p=160,q=13,r=151,s=9です。
よって、
p+q+r+s=160+13+151+9=333となります。
入力すべき自然数は、
333です。