GSO009 問題8
問題文
磁場中での分裂と再合体
問題文
xy 平面内を運動する、質量 3m、電荷 +2q の点粒子 C を考える。ただし、m,q>0 とする。
空間には z 軸正方向の一様な磁束密度
B=Bezが存在しており、B>0 とする。重力その他の力は無視し、磁場は粒子の運動範囲全体で一様であるものとする。
ある瞬間、粒子 C が原点 O を速度 Vex で通過したと同時に、内部エネルギーの一部を運動エネルギーに変えて、次の2つの点粒子 A,B に瞬間的に分裂した。ただし、V>0 とする。
- 粒子 A:質量 m、電荷 +q
- 粒子 B:質量 2m、電荷 +q
分裂に要する時間は十分短く、その間に磁場から受ける力積は無視できるものとする。また、分裂前後で全運動量は保存される。
分裂直後の A,B の速度の向きはあらかじめ与えられていない。
分裂後、A,B は一様磁場中を運動し、原点 O を出発してから初めて再び同じ位置 P に到達して衝突した。さらに、この衝突の瞬間は、粒子 A の速度が分裂直後の速度と初めて正反対の向きになった瞬間であった。
P で A,B は瞬間的に完全非弾性衝突し、そのまま合体して、質量 3m、電荷 +2q の1個の点粒子 D となった。合体に要する時間も十分短く、その間に磁場から受ける力積は無視でき、合体前後で全運動量が保存されるものとする。
その後も D は同じ一様磁場中を運動し続ける。
点 P の x 座標を xP とする。また、合体後の粒子 D がその後の運動で到達する x 座標の最大値を xmax とする。
xPxmax=rpと表されるとき、互いに素な自然数 p,r に対して p+r を求めよ。
入力形式
xPxmax=rp を既約分数で表したときの p+r を自然数で入力する。
解説
円運動の中心と運動量
まず、一様磁場中を運動する正電荷について、円運動の中心と運動量の関係を考えます。
電荷が +q、運動量が
(px,py)であるとします。
磁場は z 軸正方向を向いているので、正電荷には速度の進行方向から時計回りに 90∘ 回転した向きのローレンツ力が働きます。
運動量の大きさを p とすると、円運動の半径は
R=qBpです。
したがって、粒子の現在位置から円の中心へ向かうベクトルは
(qBpy,−qBpx)となります。
ここで、ある粒子が原点 O から点
P=(x,y)まで運動したとします。
原点での運動量を (p0x,p0y)、点 P での運動量を (px,py) とします。
同じ円運動の中心を、原点から見た場合と点 P から見た場合の2通りで表すと、
(qBp0y,−qBp0x)=(x+qBpy,y−qBpx)です。
よって、
px−p0x=qByおよび
py−p0y=−qBxを得ます。
つまり、電荷 +q の粒子が原点から同じ点 P まで運動したとき、その間の運動量変化は途中の軌道によらず同じです。
今回、粒子 A,B はともに電荷 +q であり、原点から同じ点 P へ到達します。
したがって、
粒子 A の運動量変化=粒子 B の運動量変化となります。
分裂直後の運動量を求める
分裂直後の粒子 A の運動量を
pA=(ax,ay)粒子 B の運動量を
pB=(bx,by)とします。
分裂時には運動量が保存されるので、
ax+bx=3mV ay+by=0です。
次に、衝突までに各粒子の速度がどれだけ回転するかを考えます。
一様磁場中における角速度の大きさは、
ω=mqBです。
したがって、粒子 A の角速度を ω とすると、質量が 2m で電荷が同じ +q である粒子 B の角速度は、
2ωです。
衝突の瞬間、粒子 A の速度は分裂直後と初めて正反対になっています。
したがって、A の速度は衝突までにちょうど 180∘ 回転しています。
同じ時間に B の速度が回転する角度はその半分なので、
90∘です。
粒子 A の衝突直前の運動量は、
(−ax,−ay)です。
よって、A の運動量変化は、
(−2ax,−2ay)となります。
一方、粒子 B は時計回りに 90∘ 回転するので、その衝突直前の運動量は、
(by,−bx)です。
したがって、B の運動量変化は、
(by−bx,−bx−by)となります。
A,B の運動量変化は等しいので、
−2ax=by−bx −2ay=−bx−byです。
また、分裂時の y 方向の運動量保存から、
by=−ayです。
これを第2式へ代入すると、
−2ay=−bx+ayとなるので、
bx=3ayです。
さらに第1式へ代入すると、
−2ax=−ay−3ayより、
ax=2ayとなります。
x 方向の運動量保存より、
ax+bx=3mVですから、
2ay+3ay=3mVです。
したがって、
ay=53mVとなり、
ax=56mV bx=59mV by=−53mVを得ます。
よって、分裂直後の運動量は、
pA=(56mV,53mV) pB=(59mV,−53mV)です。
衝突点 P を求める
粒子 A の衝突直前の運動量は分裂直後と正反対なので、A の運動量変化は、
ΔpA=(−56mV,−53mV)−(56mV,53mV)=(−512mV,−56mV)です。
一方、先ほど求めた関係より、原点から
P=(xP,yP)まで運動した電荷 +q の粒子の運動量変化は、
(qByP,−qBxP)です。
したがって、
(qByP,−qBxP)=(−512mV,−56mV)となります。
x 座標について、
−qBxP=−56mVなので、
xP=5qB6mVです。
合体直後の運動量
衝突直前の粒子 A の運動量は、
(−56mV,−53mV)です。
粒子 B は分裂直後の運動量
(59mV,−53mV)から時計回りに 90∘ 回転しているので、衝突直前の運動量は、
(−53mV,−59mV)です。
合体の前後でも運動量が保存されるので、合体直後の粒子 D の運動量は、
pD=(−56mV,−53mV)+(−53mV,−59mV)=(−59mV,−512mV)です。
その大きさは、
pD=mV(59)2+(512)2=3mVとなります。
合体後の円運動
粒子 D の電荷は +2q です。
したがって、合体後の円運動の半径 R は、
R=2qBpDより、
R=2qB3mVです。
次に円の中心の x 座標を求めます。
運動量が (px,py)、電荷が +Q の粒子では、現在位置から円の中心への変位の x 成分は、
QBpyです。
したがって、粒子 D の円軌道の中心の x 座標を xc とすると、
xc=xP+2qBpD,y=5qB6mV−2qB12mV/5=0となります。
つまり、合体後の円軌道の中心は y 軸上にあります。
したがって、この円軌道上で到達する最大の x 座標は、その半径そのものであり、
xmax=2qB3mVです。
よって、
xPxmax=5qB6mV2qB3mV=45となります。
したがって、
p=5,r=4であり、入力すべき自然数は、
9です。