GSO007 問題7
問題文
観測範囲内で重なるブラッグ反射ピークの選別
問題文
平行な原子面が間隔 d で並ぶ結晶に、単色X線を入射させる。X線が原子面となす角を θ とし、0<θ<π/2 とする。隣り合う原子面で反射したX線どうしの経路差は 2dsinθ であり、反射による位相のずれはないものとする。
波長 λ のX線について、次数 m の強め合いは
2dsinθ=mλを満たすときに起こる。ただし、m は正の整数である。ブラッグ条件を満たし、測定範囲に入る反射はすべて観測できるものとし、ピーク幅と測定誤差は無視する。
同じ結晶に、波長 λA のX線Aと波長 λB のX線Bを別々に入射させる。それぞれの測定で、測定装置は sinθ が smin 以上 smax 以下となる範囲だけを記録する。
X線Aの次数 mA のピークとX線Bの次数 mB のピークが同じ θ で観測されるとき、それらを重なったピークと呼ぶ。測定範囲内で観測されるX線Aのピークの次数の集合を SA、X線Bのピークの次数の集合を SB とする。また、ある mB∈SB が存在してX線Bのピークと同じ θ で重なるような、X線Aの次数 mA∈SA の集合を TA とする。
SA, SB, TA をすべて求めよ。
制約
- d=0.240nm
- λA=0.0360nm
- λB=0.0540nm
- smin=0.300
- smax=0.900
入力形式
SA に含まれる次数の総和を P、SB に含まれる次数の総和を Q、TA に含まれる次数の平方和を R とする。このとき
P+Q+Rを入力せよ。
解説
ブラッグ条件と観測範囲
波長 λ のX線で次数 m の強め合いが起こる条件は
2dsinθ=mλです。したがって、
sinθ=2dmλです。
測定装置は
smin≤sinθ≤smaxを満たす範囲だけを記録するので、観測される次数 m は
smin≤2dmλ≤smaxを満たす正の整数です。
X線Aで観測される次数
X線Aについては
sinθ=2dmAλAです。制約を代入すると、
sinθ=2×0.240mA×0.0360=403mAです。
したがって、観測範囲の条件は
0.300≤403mA≤0.900です。これを解くと、
4≤mA≤12です。mA は正の整数なので、
SA={4,5,6,7,8,9,10,11,12}です。
この総和は
P=4+5+6+7+8+9+10+11+12=72です。
X線Bで観測される次数
X線Bについては
sinθ=2dmBλBです。制約を代入すると、
sinθ=2×0.240mB×0.0540=809mBです。
したがって、観測範囲の条件は
0.300≤809mB≤0.900です。これを解くと、
38≤mB≤8です。mB は正の整数なので、
SB={3,4,5,6,7,8}です。
この総和は
Q=3+4+5+6+7+8=33です。
重なったピークの条件
X線Aの次数 mA のピークとX線Bの次数 mB のピークが同じ角度で重なるためには、同じ sinθ を与えればよいです。ここで 0<θ<π/2 なので、同じ sinθ を与えることと同じ θ を与えることは同値です。
したがって、
2dmAλA=2dmBλBです。よって、
mAλA=mBλBです。
制約より
λAλB=0.03600.0540=23なので、
mA=23mBです。
mA,mB は正の整数であるため、mB は偶数です。mB=2n とおくと、
mA=3nです。
測定範囲内で観測されるX線Bの次数は
SB={3,4,5,6,7,8}なので、このうち偶数であるものは
mB=4, 6, 8です。対応するX線Aの次数は
mA=6, 9, 12です。
これらはいずれも
SA={4,5,6,7,8,9,10,11,12}に含まれます。よって、測定範囲内で重なったピークに対応するX線Aの次数の集合は
TA={6,9,12}です。
したがって、
R=62+92+122=36+81+144=261です。
入力すべき自然数
以上より、
P=72,Q=33,R=261です。
したがって、入力すべき自然数は
P+Q+R=72+33+261=366です。