GSO006 問題6
問題文
直線圧縮を含む低温熱機関サイクル
問題文
物質量 n の単原子分子理想気体を作業物質とする熱機関を考える。気体は状態 A から出発し、準静的に次のサイクルを一周する。
状態 A の体積を VA、温度を TA とする。
過程 A→B では、圧力を状態 A と同じ値に一定に保ったまま、外部から熱を加えて体積を VB まで膨張させる。
過程 B→C では、圧力 P と体積 V の関係が P-V 図上で直線になるように外部条件を変えながら、体積を状態 A と同じ値まで圧縮する。このとき状態 C の圧力は PC である。
過程 C→A では、体積を一定に保ったまま加熱し、状態 A に戻す。
気体が外部にする仕事を正とし、熱機関の熱効率を
η=一周期で気体が吸収した熱量の総和一周期で気体が外部にした正味の仕事で定義する。
制約
- n=0.200 mol
- R=8.00 J/(mol⋅K)
- VA=1.00×10−3 m3
- VB=2.00×10−3 m3
- TA=300 K
- PC=1.20×105 Pa
入力形式
熱効率 η を既約分数
η=baで表したとき、a+b を入力せよ。
解説
状態 A の圧力を求める
理想気体なので、状態方程式
PV=nRTが成り立ちます。状態 A では
PAVA=nRTAより、
PA=VAnRTAです。数値を代入すると、
PA=4.80×105 Paとなります。
過程 A→B は定圧過程なので、状態 B の圧力も
PB=PAです。
状態 B と状態 C の温度
理想気体の状態方程式から、定圧で体積が変わると温度も体積に比例して変わります。
状態 B では
TB=nRPBVBです。ここで PB=PA なので、
TB=600 Kとなります。
状態 C では、体積は VA と同じで、圧力は PC です。したがって
TC=nRPCVAより、
TC=75.0 Kです。
このサイクルは、圧縮後にかなり低温の状態 C を通る点がやや変わっています。
各過程の仕事
まず、過程 A→B は定圧膨張です。気体が外部にする仕事は、P-V 図で過程の下の面積に等しいため、
WAB=PA(VB−VA)です。よって
WAB=480 Jとなります。
次に、過程 B→C は P-V 図上で直線です。直線過程では、仕事は圧力の平均値に体積変化を掛ければ求められます。
ただし、この過程では体積が減少するので、気体が外部にする仕事は負になります。
WBC=2PB+PC(VC−VB)ここで VC=VA ですから、
WBC=−300 Jです。
過程 C→A は定積過程なので、体積変化がありません。したがって
WCA=0です。
よって、一周期で気体が外部にした正味の仕事は
W=WAB+WBC+WCA=180 Jです。
各過程の熱量
熱力学第一法則を
Q=ΔU+Wの形で使います。ここで、Q は気体が吸収した熱量、ΔU は内部エネルギーの変化、W は気体が外部にした仕事です。
単原子分子理想気体の内部エネルギーは温度だけで決まり、
U=23nRTです。したがって、温度変化に対する内部エネルギー変化は
ΔU=23nRΔTとなります。
過程 A→B では温度が上がり、さらに膨張して正の仕事をします。したがって熱を吸収しています。
ΔUAB=23nR(TB−TA)=720 Jより、
QAB=ΔUAB+WAB=1200 Jです。
過程 B→C では温度が大きく下がり、しかも圧縮されて気体のする仕事は負です。
ΔUBC=23nR(TC−TB)=−1260 Jなので、
QBC=ΔUBC+WBC=−1560 Jです。これは、気体が熱を放出していることを表します。
過程 C→A は定積加熱です。仕事はありませんが、温度が上がるので、吸収した熱は内部エネルギーの増加に等しくなります。
QCA=ΔUCA=23nR(TA−TC)=540 Jです。
熱効率を求める
熱機関の効率では、分母に「一周期で吸収した熱量の総和」を使います。放出した熱量は分母に入れません。
このサイクルで熱を吸収しているのは、過程 A→B と過程 C→A です。したがって
Qin=QAB+QCAです。
よって、
Qin=1200+540=1740 Jとなります。
正味の仕事は 180 J だったので、
η=1740180です。約分すると、
η=293です。
したがって、a=3, b=29 であり、入力すべき自然数は
a+b=32です。