問題文
共振から外れた直列 $LRC$ 回路に隠れる蓄積エネルギー
問題文
抵抗 R,コイル L,コンデンサー C をこの順に直列接続し,その両端に実効値 V の正弦波交流電源を接続する。電源の角振動数を ω とし,回路は十分時間が経過して定常状態に達している。導線の抵抗,電源の内部抵抗,コイルの巻線抵抗は無視でき,抵抗成分は R のみである。
この回路の固有角振動数を
ω0=LC1
とする。実際の角振動数は
ω<ω0
を満たすように調整されている。
同じ R,L,C,V のまま,角振動数だけを ω0 にしたときの抵抗 R の平均消費電力を Pmax とする。実際の角振動数 ω における抵抗 R の平均消費電力を P とすると,
P=pPmax
である。
また,実際の角振動数 ω におけるコンデンサーの両端電圧の実効値を VC とすると,
VC=qV
である。
定常状態における瞬時電流を i(t),コンデンサーの瞬時電圧を vC(t) とする。回路のコイルとコンデンサーに蓄えられている電磁エネルギーの和を
E(t)=21Li(t)2+21CvC(t)2
と定義する。
E(t) の時間平均を E とする。
制約
- C=80.0μF=80.0×10−6F
- V=75.0V
- p=169144
- q=13.0
入力形式
E を J 単位で表した数値を用いて,次の量
N=40E
を計算して自然数で答えよ。
この問題で問うている物理
直列 LRC 回路では,抵抗,コイル,コンデンサーに流れる電流は共通である。しかし,各素子の電圧は一般に同相ではない。
抵抗の電圧は電流と同相であり,コイルの電圧は電流より進み,コンデンサーの電圧は電流より遅れる。そのため,電源電圧の実効値 V は,単純に
V=VR+VL+VC
とはならない。
実効値を用いた交流回路では,電圧の位相関係を考え,
V2=VR2+(VL−VC)2
を用いる。
今回は
ω<ω0
であるから,回路は容量性であり,
VC>VL
である。
したがって,
V2=VR2+(VC−VL)2
と書ける。
また,この問題では「蓄積エネルギーの最大値の和」ではなく,実際の瞬時エネルギー
E(t)=21Li(t)2+21CvC(t)2
の時間平均を求める。これは実際に回路内に蓄えられているエネルギーに基づく量であり,物理的に自然な量である。
共振時の最大電力 Pmax
同じ R,L,C,V のまま,角振動数を共振角振動数
ω0=LC1
にすると,コイルのリアクタンスとコンデンサーのリアクタンスが打ち消し合う。
したがって,共振時のインピーダンスは
Z=R
である。
よって,共振時の電流実効値は
Imax=RV
である。
抵抗の平均消費電力は
Pmax=Imax2R
だから,
Pmax=(RV)2R
Pmax=RV2
である。
実際の電流実効値と抵抗電圧
実際の角振動数 ω における電流実効値を I とする。
抵抗の平均消費電力は
P=I2R
である。
条件より
P=pPmax
だから,
I2R=pRV2
である。
両辺を整理すると,
I2R2=pV2
である。
ここで,抵抗の両端電圧の実効値を VR とすると,
VR=IR
である。
したがって,
VR2=pV2
より,
VR=pV
である。
今回,
p=169144
なので,
p=169144
p=1312
である。
よって,
VR=1312V
となる。
リアクタンス電圧の差を求める
交流電源電圧の実効値について,
V2=VR2+(VC−VL)2
が成り立つ。
ここに
VR=pV
を代入すると,
V2=pV2+(VC−VL)2
である。
よって,
(VC−VL)2=(1−p)V2
である。
今回
ω<ω0
なので
VC>VL
である。したがって,
VC−VL=1−pV
である。
ここで,
p=169144
だから,
1−p=1−169144
1−p=16925
である。
よって,
1−p=135
である。
したがって,
VC−VL=135V
となる。
コイル電圧 VL を求める
条件より,
VC=qV
である。
また,
VC−VL=1−pV
なので,
qV−VL=1−pV
である。
したがって,
VL=(q−1−p)V
である。
数値を代入すると,
VL=(13−135)V
VL=(13169−135)V
VL=13164V
である。
一方,
VC=13V=13169V
だから,
VCVL=13169V13164V
VCVL=169164
である。
電圧比から ω2LC を求める
コイルのリアクタンスを
XL=ωL
コンデンサーのリアクタンスを
XC=ωC1
とする。
直列回路なので,コイルにもコンデンサーにも同じ電流実効値 I が流れる。
したがって,
VL=IXL
VC=IXC
である。
よって,
VCVL=IXCIXL
VCVL=XCXL
である。
さらに,
XCXL=1/(ωC)ωL
XCXL=ω2LC
である。
したがって,
ω2LC=VCVL
より,
ω2LC=169164
である。
この値が 1 より小さいことは,
ω<ω0
という条件とも一致している。
瞬時エネルギーの時間平均を考える
電流の実効値を I とすると,電流の最大値は
I0=2I
である。
したがって,コイルに蓄えられるエネルギーは
EL(t)=21Li(t)2
であり,その時間平均は
EL=21Li(t)2
である。
正弦波電流では
i(t)2=I2
であるから,
EL=21LI2
となる。
次に,コンデンサーの電圧実効値は VC である。したがって,コンデンサーに蓄えられるエネルギー
EC(t)=21CvC(t)2
の時間平均は
EC=21CvC(t)2
である。
正弦波電圧では
vC(t)2=VC2
なので,
EC=21CVC2
である。
したがって,求める時間平均は
E=EL+EC
より,
E=21LI2+21CVC2
である。
コイル側の平均エネルギーをコンデンサー側で表す
ここで,
VC=IXC
であり,
XC=ωC1
だから,
VC=IωC1
である。
よって,
I=ωCVC
である。
これを
LI2
に代入すると,
LI2=L(ωCVC)2
LI2=Lω2C2VC2
LI2=(ω2LC)CVC2
となる。
すでに
ω2LC=169164
を得ているので,
LI2=169164CVC2
である。
したがって,
E=21LI2+21CVC2
E=21⋅169164CVC2+21CVC2
E=21(169164+1)CVC2
である。
1=169169
だから,
169164+1=169164+169169
=169333
である。
よって,
E=21⋅169333CVC2
である。
VC=qV を代入する
条件より,
VC=qV
である。
したがって,
VC2=q2V2
である。
よって,
E=21⋅169333Cq2V2
である。
ここで
q=13
なので,
q2=169
である。
したがって,
E=21⋅169333C⋅169V2
E=2333CV2
となる。
数値計算
制約より,
C=80.0×10−6F
V=75.0V
である。
したがって,
E=2333×80.0×10−6×(75.0)2
である。
まず,
(75.0)2=5625
である。
よって,
E=2333×80.0×10−6×5625
ここで,
80.0×10−6×5625=450000×10−6
=0.450
である。
したがって,
E=2333×0.450
E=333×0.225
E=74.925J
である。
指定された自然数 N を求める
問題で答える量は
N=40E
である。
したがって,
N=40×74.925
である。
小数を分数として扱うと,
74.925=100074925
なので,
N=40×100074925
N=100040×74925
N=251×74925
N=2997
である。
答え
2997