GSO004 問題6
問題文
暴走クレーン車と鉄球の振り子運動
問題文
水平で滑らかなレールの上に、質量 M のクレーン車が置かれている。 クレーン車には水平方向に伸びたアームがあり、その先端 O から長さ l の軽くて伸びないワイヤーで、質量 m の鉄球(大きさを無視できる質点とする)が吊るされている。 点 O はレールから十分に高い位置にある。 ある時、ワイヤーが水平になるように(鉄球が点 O と同じ高さになるように)鉄球を持ち上げ、クレーン車を静止させた状態から、鉄球を静かに放した。 鉄球とクレーン車は同一の鉛直面内で運動し、クレーン車はレール上を摩擦なく並進運動するものとする。また、車輪の回転や空気抵抗は無視できるものとする。 重力加速度の大きさを g とする。
鉄球が最下点(点 O の真下)を通過する瞬間の、ワイヤーの張力 T を求めよ。
制約
- M=15500 kg
- m=2450 kg
- l=12.5 m
- g=9.80 m/s2
入力形式
得られた張力 T [N] は、既約分数 BA (A,B は互いに素な自然数)の形で表される。 A+B の値を自然数で回答せよ。
解説
1. 座標系の設定と運動量保存則
水平右向きを正の方向とする。初期状態では系全体が静止しているため、水平方向の全運動量は 0 である。 鉄球が最下点を通過する瞬間の、床から見たクレーン車の速度を V、鉄球の速度を v とする。 水平方向には系に対する外力が働かない(レールからの垂直抗力と重力は鉛直方向のみ)ため、水平方向の運動量保存則が成り立つ。
MV+mv=0これを V について解くと、以下のようになる。
V=−Mmv2. 力学的エネルギー保存則
初期状態(鉄球が点 O と同じ高さ)から最下点まで、鉄球は鉛直下方に l だけ移動する。 この間に重力がした仕事は mgl であり、これが系全体の運動エネルギーに変換される。 したがって、力学的エネルギー保存則より以下の式が成り立つ。
mgl=21MV2+21mv2これに先ほどの V の式を代入し、v を求める。
mgl=21M(−Mmv)2+21mv2 mgl=21mv2(Mm+1)=21mv2MM+mよって、最下点における鉄球の床に対する速さの2乗 v2 は次のように求まる。
v2=M+m2Mgl3. 最下点におけるクレーン車の加速度
張力 T を求めるために、クレーン車に固定された座標系(非慣性系)から鉄球の運動を観測する。 最下点において、ワイヤーは鉛直方向を向いている。したがって、鉄球がワイヤーを引く力(張力の反作用)も鉛直方向のみに働き、クレーン車に対して水平方向の力は一切作用しない。 クレーン車には水平方向の外力が働かないため、最下点を通過する瞬間、クレーン車の水平方向の加速度 A は 0 となる。 加速度が 0 であるため、この瞬間に限り、クレーン車に固定された座標系は慣性系と同等に扱うことができ、慣性力を考慮する必要がない。
4. 張力 T の導出
クレーン車から見た鉄球の相対速度 u を求める。
u=v−V=v−(−Mmv)=v(1+Mm)=vMM+mクレーン車から見ると、鉄球は半径 l、最下点での速さ u の円運動を行っているように見える。 最下点における鉄球の運動方程式(円運動の向心力)は、張力 T を用いて次のように立式できる。
T−mg=mlu2ここで、u2 を計算する。
u2=v2(MM+m)2=M+m2Mgl⋅M2(M+m)2=M2(M+m)glこれを運動方程式に代入する。
T=mg+ml1⋅M2(M+m)gl=mg+mM2(M+m)g T=mg(1+M2M+2m)=mg(MM+2M+2m)=mgM3M+2m特筆すべき点として、ワイヤーの長さ l が約分によって消去され、張力 T は l に依存しないことがわかる。
5. 数値計算
得られた文字式に、制約の数値を代入する。 M=15500、m=2450、g=9.80
T=2450×9.80×155003×15500+2×2450 T=24010×1550046500+4900=24010×1550051400=24010×155514ここで、分数部分を約分する。分母 155 と 24010 は共に 5 の倍数である。
155÷5=31 24010÷5=4802したがって、
T=4802×31514=312468228分母の 31 は素数である。分子 2468228 を 31 で割ると 79620.258... となり割り切れないため、これ以上約分することはできない。 よって、既約分数 BA は 312468228 となる。
求める答えは A+B であるため、
A+B=2468228+31=2468259最終解答: 2468259