GSO004 問題4
問題文
弦楽器の精密な調律と張力の決定
問題文
両端が固定された、長さ L の一様な弦がある。この弦の線密度(単位長さあたりの質量)を ρ とする。 この弦に張力 S を与え、弦を弾いて弦全体に1つの腹を持つ基本振動を発生させた。このとき、弦が周囲の空気を振動させることによって生じる音波の振動数を f とする。
同時に、振動数が f0 で一定である基準音の音叉を鳴らしたところ、毎秒 n 回のうなりが観測された。 次に、弦の張力を S からわずかに増加させて弾き直したところ、音叉との間に生じる毎秒のうなりの回数は減少した。
弦を伝わる横波の速さ v は、張力 S と線密度 ρ を用いて v=ρS と表される。 また、弦の振動数と、それによって生じる空気中の音波の振動数は等しいものとする。
以上の条件から、弦の最初の張力 S を求めよ。
制約
- 音叉の振動数: f0=440 Hz
- うなりの回数: n=5 Hz
- 弦の長さ: L=0.50 m
- 弦の線密度: ρ=2.0×10−3 kg/m
入力形式
最初の弦の張力 S [N] の値を求め、得られた値を 100 倍した値を自然数で回答せよ。
解説
1. うなりと振動数の大小関係の決定
2つの音源から発せられる音波の振動数をそれぞれ f,f0 としたとき、1秒間に生じるうなりの回数 n は、両者の振動数の差の絶対値に等しくなります。
n=∣f−f0∣したがって、最初の弦の振動数 f は、f=f0+n または f=f0−n のいずれかになります。 ここで、弦の張力をわずかに増加させた際の現象から、どちらの符号が正しいかを論理的に決定します。
弦を伝わる横波の速さ v は v=ρS であり、張力 S が増加すると波の速さ v も増加します。 波の基本式 v=fλ を変形すると、f=λv となります。 弦の基本振動における波長 λ は弦の長さ L のみによって決まり(後述)、張力を変えても一定です。したがって、波の速さ v が増加すると、それに比例して弦の振動数 f も増加します。
問題文より、張力を増加させて振動数 f が大きくなった結果、うなりの回数 n が減少しました。 うなりが減少するということは、弦の振動数 f が基準となる音叉の振動数 f0 に近づいたことを意味します。 増加して f0 に近づくためには、元の振動数 f は f0 よりも小さくなければなりません。 よって、最初の弦の振動数 f は以下の通り確定します。
f=f0−n具体的な数値を代入すると、
f=440−5=435 Hzとなります。
2. 定常波の波長と波の基本式
両端が固定された弦における基本振動は、両端が節、中央が腹となる定常波です。 このとき、弦の長さ L の中に半波長(2λ)が1つだけ含まれるため、以下の関係が成り立ちます。
L=2λ⟹λ=2L波の基本式 v=fλ は、波が空間を進む速さ v、空間的な周期である波長 λ、時間的な周期の逆数である振動数 f を結びつける根幹の法則です。 これを今回の弦の振動に適用すると、弦を伝わる波の速さ v は次のように表されます。
v=f×2L=2Lf3. 張力の導出と計算
問題文で与えられた弦を伝わる横波の速さの公式 v=ρS と、ステップ2で導出した v=2Lf を等置します。
ρS=2Lf両辺を2乗して、張力 S について解きます。
ρS=4L2f2 S=4ρL2f2この式に、各変数の具体的な数値を代入して計算します。
- L=0.50 m より、L2=0.25 m2
- ρ=2.0×10−3 kg/m
- f=435 Hz より、f2=4352=189225 Hz2
計算を工夫すると、4×0.25=1 となるため、
S=(2.0×10−3)×189225=0.002×189225=378.45 Nとなります。
問題の指示に従い、得られた張力 S の値を 100 倍します。
378.45×100=37845これが最終的な解答となる自然数です。