GSO004 問題1
問題文
レーシングカーのリアウィングに働く空気力の合成
問題文
高速で直線軌道を走行するフォーミュラカーのリアウィング(後部翼)には、周囲の空気流から強大な流体力が働く。車両の運動性能を評価する際、この流体力は、車体を地面に押し付ける鉛直下向きの成分である「ダウンフォース」と、進行方向とは逆の水平後向きの成分である「抗力(ドラッグ)」の2つの力に直交分解して扱われる。
ある瞬間の走行において、リアウィングの空力中心(力が作用する代表点)に対し、鉛直下向きに大きさ L のダウンフォースが働き、同時に、同じ作用点に対して水平後向きに大きさ D の抗力が働いているとする。
これらの2つの空気力が合成され、最終的にウィングを支えるマウント(支柱)の根本に伝わる全体の空気力(合力)の大きさを F とする。合力の大きさ F を求めよ。なお、風の影響等はなく、車体は完全に水平な路面を走行しているものとする。
制約
- ダウンフォースの大きさ: L=5123 N
- 抗力の大きさ: D=1876 N
入力形式
合力の大きさ F [N] を求め、その値を2乗した F2 の値を自然数で回答せよ。
解説
1. 問題の状況整理とベクトルとしての力
本問は、日常や産業界に溢れている「流体力」をモデル化した問題です。流体力学の世界では、物体に働く空気の力を、流れに垂直な成分(揚力やダウンフォース)と、流れに平行な成分(抗力)に分けて解析するのが一般的です。
力は「大きさ」と「向き」を持つベクトルです。 問題文の指定に従い、リアウィングの空力中心を原点として空間を捉えます。 車体の進行方向を前、路面に向かう方向を下とすると、以下のように2つの力が働いています。
- ダウンフォース L:鉛直下向き(路面に向かう方向)
- 抗力 D:水平後向き(進行方向とは逆方向)
水平方向と鉛直方向は互いに直交(90∘ で交差)しているため、この2つのベクトルがなす角は直角となります。
2. 2力の合成(平行四辺形の法則)
1つの点に2つの力(ベクトル)が同時に働くとき、それらが物体に与える総合的な効果は、2つのベクトルを隣り合う辺とする平行四辺形の対角線によって表されます。これを「力の平行四辺形の法則」と呼びます。
本問の場合、ダウンフォース L と抗力 D のなす角は 90∘ です。 したがって、作図される平行四辺形はすべての角が直角、すなわち長方形となります。 合力 F を表すベクトルは、この長方形の対角線として描かれます。
3. 三平方の定理(ピタゴラスの定理)による立式
長方形の対角線の長さは、直角三角形の斜辺の長さを求めることと同義です。 ここで、中学生で学ぶ数学の基本定理である「三平方の定理」を適用します。 直角を挟む2辺の長さを L、D とし、斜辺の長さを F とすると、以下の関係式が成り立ちます。
F2=L2+D2合力の大きさ F は正の値であるため、両辺の平方根をとることで次のように立式できます。
F=L2+D24. 数値代入と最終解答の導出
制約として与えられた具体的な数値を式に代入します。
- L=5123 N
- D=1876 N
これらを三平方の定理の式に代入して、合力の2乗 F2 を計算します。
F2=51232+18762=26245129+3519376=29764505したがって、F2 の値は 29764505 となります。 作問上、数値は現実のフォーミュラカーに働く力(約500kgfのダウンフォースと約190kgfの抗力、L/D比 ≈2.7)という非常にリアルなオーダーを意図的に設定しています。
最終解答: 29764505