問題文
【深海探査】未知の液体の絶対屈折率と分散センサー
問題文
未知の海洋惑星において、深海を満たす特殊な液体(以下、液体F)の光学的な性質を調べるため、特殊な光学結晶でできたセンサーが沈められた。
このセンサーの要となるのは、断面が正三角形 PQR (頂角 ∠P=60∘)の形状をしたプリズムである。プリズムは液体Fの中に完全に水没している。
探査船から液体F中へ向けてレーザー光を発射し、プリズムの面 PQ (第1面)に入射させる。入射した光は屈折してプリズム内部を進み、面 PR (第2面)に到達する。
この結晶の絶対屈折率は、入射する光の波長によって異なる値(分散)を示すが、液体Fの絶対屈折率 nf は可視光の波長域において一定であると仮定する。
以下の2つの実験を行った。
【実験1:青色光の照射】
青色光を用いたとき、結晶の絶対屈折率は ncB であった。面 PQ への入射角 θ0 を 0∘ から徐々に大きくしていったところ、幾何学的な関係から、面 PR への入射角は逆に徐々に小さくなっていった。そして、面 PQ での入射角が θ0B に達した瞬間に、面 PR に到達した光の入射角が全反射の臨界角まで小さくなり、面 PR から液体F中へ透過光が現れ始めた。
【実験2:赤色光の照射】
赤色光を用いたとき、結晶の絶対屈折率は ncR であった。青色光のときと同様に、面 PQ への入射角を 0∘ から大きくしていき、面 PR から透過光が現れ始めた(全反射の限界に達した)瞬間の面 PQ への入射角を θ0R とした。
光の進行はすべて正三角形 PQR を含む同一平面上で行われるものとし、液体Fの絶対屈折率 nf は真空の絶対屈折率 1 より大きく、かつ ncB,ncR よりも小さいものとする。
このとき、赤色光の面 PQ での入射角の正弦 sinθ0R を求めよ。
制約
- プリズムの頂角: ∠P=60∘
- 青色光に対する結晶の絶対屈折率: ncB=2.8 (無次元量)
- 赤色光に対する結晶の絶対屈折率: ncR=2.5 (無次元量)
- 青色光における境界の入射角 θ0B の条件: sinθ0B=0.6
- 面 PQ における入射角 θ0 は、法線から測った角度とする(0∘≤θ0<90∘)。
- 液体Fの絶対屈折率 nf は波長に依存しない一定値。
入力形式
求められた sinθ0R の値は、以下の分母を有理化した形式で表される。
sinθ0R=CA−B
ここで、A,B,C は自然数(正の整数)であり、A,B,C の最大公約数は 1 である。また、A は 1 より大きい平方因数を持たない(ルートの中身が最も簡単な状態になっている)。
このとき、A×B×C の値を半角数字で解答せよ。
本問は、スネルの法則と全反射の臨界角の条件を用い、波長による屈折率の違い(分散)から未知の液体の絶対屈折率を逆算する、解析的な幾何光学の問題です。
1. プリズム内の幾何学的関係の整理
まず、波長によらず成り立つ一般的な関係式を立式します。
面 PQ における入射角を θ0、屈折角を θ1 とします。スネルの法則より、以下の関係が成り立ちます。
nfsinθ0=ncsinθ1⋯(1)
(ここで nc はその波長における結晶の絶対屈折率です)
次に、光がプリズム内部を進み、面 PR に入射する際の入射角を θ2 とします。
プリズムの頂角が ∠P=60∘ であり、光線の経路と法線が作る幾何学的な関係(四角形の内角の和、または三角形の外角の定理)から、常に以下の式が成り立ちます。
θ1+θ2=60∘⟹θ2=60∘−θ1⋯(2)
この式から、入射角 θ0 を大きくして θ1 が大きくなると、面 PR への入射角 θ2 は小さくなっていくことがわかります。
面 PR から透過光が現れ始める瞬間は、ちょうど全反射の臨界角に一致する状態(屈折角が 90∘)です。光は絶対屈折率 nc の結晶から絶対屈折率 nf の液体へ向かおうとするため、スネルの法則より以下が成り立ちます。
ncsinθ2=nfsin90∘⟹sinθ2=ncnf⋯(3)
2. 青色光の条件からの nf の導出
実験1(青色光)の条件を式 (1), (2), (3) に代入し、液体Fの絶対屈折率 nf を求めます。
与えられた値は ncB=2.8=514、sinθ0B=0.6=53 です。
式 (1) より、面 PQ での屈折角 θ1B の正弦は、
nf⋅53=514sinθ1B⟹sinθ1B=143nf
式 (3) より、面 PR での臨界入射角 θ2B の正弦は、
sinθ2B=14/5nf=145nf
式 (2) より θ2B=60∘−θ1B であるため、両辺の正弦をとって加法定理を適用します。
sinθ2B=sin(60∘−θ1B)=sin60∘cosθ1B−cos60∘sinθ1B
ここに sin60∘=23、cos60∘=21、および cosθ1B=1−sin2θ1B を代入します。
145nf=231−(143nf)2−21(143nf)
右辺の第二項を左辺に移項して整理します。
145nf+283nf=231−1969nf2
2813nf=23196196−9nf2=2×143196−9nf2=283196−9nf2
両辺に 28 を掛けて分母を払います。
13nf=3196−9nf2
両辺を2乗して nf について解きます(nf>0 より同値性は保たれます)。
169nf2=3(196−9nf2)
169nf2=588−27nf2
196nf2=588
nf2=196588=3⟹nf=3
これにより、未知の液体Fの絶対屈折率が nf=3 であることが判明しました。
3. 赤色光における sinθ0R の算出
次に、得られた nf=3 を用いて実験2(赤色光)を解析します。
赤色光における結晶の絶対屈折率は ncR=2.5=25 です。
式 (3) より、面 PR における臨界入射角 θ2R は以下のようになります。
sinθ2R=ncRnf=5/23=523
このとき、cosθ2R は次のように求まります。
cosθ2R=1−sin2θ2R=1−2512=2513=513
式 (2) より、面 PQ における屈折角 θ1R は θ1R=60∘−θ2R です。再び加法定理を用いて sinθ1R を求めます。
sinθ1R=sin(60∘−θ2R)=sin60∘cosθ2R−cos60∘sinθ2R
sinθ1R=23⋅513−21⋅523=1039−1023=1039−23
最後に、式 (1) を用いて面 PQ での入射角 θ0R を求めます。
nfsinθ0R=ncRsinθ1R
3sinθ0R=25(1039−23)=439−23
両辺を 3 で割ります。
sinθ0R=413−2
4. 最終解答
求められた値は 413−2 です。
指定された形式 CA−B と比較すると、
- A=13 (1 より大きい平方因数を持たない)
- B=2
- C=4
これら3つの数の最大公約数は 1 であり、条件を満たしています。
求める積は A×B×C=13×2×4=104 となります。
解答: 104