GSO003 問題3
問題文
クーロンのねじり天秤を用いた未知電荷の測定実験
問題文
大学の物理実験室にて、クーロンのねじり天秤を用いて2つの微小な金属球A、Bの電荷量を特定する実験を行った。球Aと球Bは全く同じ大きさの導体球である。
事前の帯電列などによる定性的な確認から、実験開始時の球Aは正の電荷 +QA (QA>0) を、球Bは負の電荷 −QB (QB>0) を持っており、その電荷の大きさは QA>QB であることが分かっている。
- まず、球Aと球Bの中心間距離が r となるように配置したところ、ねじり糸のねじれ角から、2球間には大きさ F1 の引力が働いていることが観測された。
- 次に、絶縁性の操作棒を用いて球Aと球Bを一度だけ接触させた。電荷の移動が完了した後、再び2球の中心間距離が r となるように配置した。
- このとき、2球間には大きさ F2 の斥力が働いていることが観測された。
周囲への電荷の散逸はなく、各導体球の大きさは距離 r に比べて十分に小さく点電荷とみなせるものとする。 以上の観測結果から、初期の電荷の大きさ QA および QB を求めよ。
制約
- クーロンの法則の比例定数: k=9.0×109 N⋅m2/C2
- 球Aと球Bの中心間距離: r=3.0×10−2 m
- 接触前に働いた引力の大きさ: F1=2.4×10−4 N
- 接触後に働いた斥力の大きさ: F2=1.0×10−5 N
入力形式
求められた QA および QB は、それぞれ x×10−9 C、y×10−9 C と表すことができる(x,y は自然数)。 10x+y の値を計算し、自然数で回答せよ。
解説
本問題は、静電気学の歴史的な実験器具である「クーロンのねじり天秤」を題材に、クーロンの法則の基本式と「導体球同士の接触による電荷の移動と再分配」という現象を組み合わせて立式し、未知の電荷量を逆算する問題です。
1. 接触前の状態の立式(引力 F1)
初期状態において、球Aは +QA、球Bは −QB に帯電しています。これらが距離 r 離れているとき、異符号の電荷間に働くクーロン力(引力)の大きさ F1 は以下の式で表されます。
F1=kr2QAQBこの式を変形し、QAQB について解き、与えられた数値を代入します。
QAQB=kF1r2=9.0×109(2.4×10−4)×(3.0×10−2)2 QAQB=9.0×1092.4×10−4×9.0×10−4=2.4×10−17=24×10−18 C22. 接触後の状態の立式(斥力 F2)
同じ大きさの導体球AとBを接触させると、系全体の総電荷量 +QA+(−QB)=QA−QB が保存されたまま、両方の球に等しく分配されます。 したがって、接触後の球Aおよび球Bが持つ電荷 Q′ はそれぞれ以下のようになります。
Q′=2QA−QB再び距離 r だけ離したとき、同符号の電荷間に働くクーロン力(斥力)の大きさ F2 は以下の式で表されます。
F2=kr2(Q′)2=kr2(2QA−QB)2=k4r2(QA−QB)2この式を変形し、(QA−QB)2 について解き、数値を代入します。
(QA−QB)2=k4F2r2=9.0×1094×(1.0×10−5)×(3.0×10−2)2 (QA−QB)2=9.0×1094.0×10−5×9.0×10−4=4.0×10−18 C2問題の条件より QA>QB であるため、QA−QB>0 となります。よって平方根をとると、
QA−QB=4.0×10−18=2.0×10−9 C3. 未知数 QA,QB の算出
次に、QA+QB を求めます。乗法公式 (QA+QB)2=(QA−QB)2+4QAQB を用います。 ステップ1と2で求めた値を代入します。
(QA+QB)2=(4.0×10−18)+4×(24×10−18) (QA+QB)2=4.0×10−18+96×10−18=100×10−18 C2QA>0,QB>0 より QA+QB>0 であるため、平方根をとります。
QA+QB=100×10−18=10×10−9 Cこれで和と差の連立方程式が得られました。
{QA+QB=10×10−9QA−QB=2.0×10−92つの式を足し合わせると、
2QA=12×10−9⟹QA=6.0×10−9 C上の式から下の式を引くと、
2QB=8.0×10−9⟹QB=4.0×10−9 C4. 最終結果の計算
得られた QA,QB は、それぞれ 6×10−9 C、4×10−9 C です。これは現実の静電気実験においてごく一般的なナノクーロン(nC)オーダーの電荷量です。
入力形式の定義 QA=x×10−9 C、QB=y×10−9 C に当てはめると、
- x=6
- y=4
となります。最後に指定された計算式 10x+y を計算します。
10×6+4=64したがって、回答すべき自然数は 64 となります。