GSO002 問題5
問題文
超高速ウォータージェットカッターの衝撃力
問題文
工業用切断機として利用される「ウォータージェットカッター」の物理的特性を考察する。この装置は、極細のノズルから超高速で水を噴射し、その衝突の際に生じる巨大な力によって鋼鉄や岩石を切断するものである。
いま、断面積 S のノズルから、密度 ρ の水が一定の速さ v で水平方向(+x 方向)に連続的に噴射されている。この水流が、水流に対して垂直に固定された硬い厚板の平らな面に衝突する場合を考える。
水流は板に衝突した後、板の表面に沿って四方八方へ広がり、板に垂直な方向(x 方向)の速度成分は完全に消失するものとする。また、水流は定常的であり、重力の影響や空気抵抗、および水滴同士の干渉は無視できるものとする。
このとき、時間 T の間に水流が厚板に与える合計の力積の大きさ I を求めよ。
制約
- 水の密度 ρ=1.0×103 kg/m3
- ノズルの断面積 S=1.25×10−6 m2
- 噴射される水の速さ v=640 m/s
- 観測時間 T=8.0 s
入力形式
求めた力積の大きさ I [N⋅s] の値を、自然数で回答せよ。
解説
本問は、流体の運動量変化と力積の関係を正しく理解し、立式できるかを問う問題である。
1. 微小時間における質量の特定
まず、微小時間 Δt [s] の間に厚板に衝突する水の質量 Δm [kg] を考える。 速さ v で流れる水流が Δt の間に進む距離は vΔt である。この間にノズルから噴出され、板に衝突する水の体積 ΔV は、断面積 S を用いて次のように表される。
ΔV=S⋅(vΔt)したがって、衝突する水の質量 Δm は、密度 ρ を用いて以下のようになる。
Δm=ρΔV=ρSvΔt2. 運動量変化と力積の関係
次に、x 方向の運動量の変化に注目する。 衝突直前の水の x 方向の速度は v であり、衝突直後の x 方向の速度は 0 である。 したがって、質量 Δm の水が厚板から受ける x 方向の力積 Ix は、運動量の変化量に等しいため:
Ix=0−(Δm⋅v)=−ρSv2Δt作用・反作用の法則より、厚板が水から受ける力積 ΔI は、これと逆向きで大きさの等しい量となる。
ΔI=ρSv2Δt3. 平均的な力の導出
厚板が水流から受ける平均的な力の大きさ F は、力積を時間で割ることで求められる。
F=ΔtΔI=ρSv2この式は、単位時間あたりに衝突する水の運動量の変化が、そのまま板にかかる力になることを示している。
4. 数値計算
与えられた制約数値を代入して、まず力 F を算出する。
F=(1.0×103)×(1.25×10−6)×(640)2=1.25×10−3×409600=1.25×409.6=512 Nこの力 F が時間 T=8.0 s の間継続して加わるため、求める合計の力積 I は以下の通りとなる。
I=F×T=512×8.0=4096 N⋅s答え:4096