GSO001 問題9
問題文
2物体間の摩擦と相対運動
問題文(再掲)
水平でなめらかな床の上に、質量 M の十分に長い板Aが置かれている。その板Aの右端付近に、質量 m の小物体Bが置かれている。 AとBの接触面には摩擦があり、両者の間の静止摩擦係数を μ、動摩擦係数を μ′ とする。また、重力加速度の大きさを g とする。 時刻 t において、AとBがともに静止した状態から、板Aに対して水平右向きに一定の大きさの力 F を加え続けた。 この力 F がある条件を満たすとき、小物体Bは板Aの上を滑りながら運動する。 時刻 t から t=t1 までの間に、小物体Bが板Aに対して相対的に滑った距離 L を求めよ。なお、時間 t1 の間、小物体Bは板Aから落下しないものとする。
制約
- M=3.0 kg
- m=2.0 kg
- μ=0.50
- μ′=0.30
- F=30 N
- g=9.8 m/s2
- t1=10 s
入力形式
小物体Bが板Aに対して相対的に滑った距離 L を m(メートル)単位で求め、その自然数を答えよ。
解説
まず、加えられた力 F によって小物体Bが板Aに対して滑るかどうか(条件分岐)を判定します。 AとBが相対的に静止したまま一体となって運動すると仮定した場合、全体の加速度を a0 とすると、運動方程式は以下のようになります。
(M+m)a0=Fこのとき、小物体Bを前方に加速させている力は、AからBに働く静止摩擦力 f のみです。Bについての運動方程式は以下の通りです。
ma0=fBがAに対して滑らないためには、この静止摩擦力 f が最大摩擦力 μmg 以下である必要があります。
f≤μmg⟹ma0≤μmg⟹a0≤μgしたがって、AとBが一体となって動くための最大の力 F0 は次のように求められます。
F0=(M+m)μg与えられた数値を代入して F0 を計算します。
F0=(3.0+2.0)×0.50×9.8=24.5 N今回Aに加えられた力は F=30 N であり、F>F0 となります。したがって、静止摩擦力の限界を超えており、小物体Bは板Aに対して滑りながら運動することがわかります。
次に、滑りながら運動している際のAとBそれぞれの加速度を求めます。 床に対するAの右向きの加速度を aA、Bの右向きの加速度を aB とすると、それぞれの運動方程式は以下のようになります。
A:MaA=F−μ′mgB:maB=μ′mgこれらから加速度を計算します。
aBaA=μ′g=0.30×9.8=2.94 m/s2=MF−μ′mg=3.030−0.30×2.0×9.8=8.04 m/s2板Aに対する小物体Bの相対加速度 arel は、aA−aB として求められます。
arel=8.04−2.94=5.10 m/s2時刻 t=t1 までにBがAに対して相対的に滑った距離 L は、等加速度直線運動の公式より以下のようになります。
L=21arelt12=21×5.10×(10)2=255 mしたがって、求める自然数は 255 となります。
【別解:慣性力を用いて一瞬で解く方法】
板Aに乗った観測者(非慣性系)の視点で、小物体Bの相対運動の運動方程式を直接立てます。 観測者(板A)の地面に対する加速度は aA=MF−μ′mg です。 この観測者から見ると、質量 m の小物体Bには、左向きに慣性力 maA が働き、右向きに動摩擦力 μ′mg が働きます。 左向きを正とし、Bの相対加速度を α とすると、運動方程式は以下の通りです。
mα=maA−μ′mgaA を代入して整理すると、相対加速度 α の文字式が一発で求まります。
mαα=m(MF−μ′mg)−μ′mg=MF−μ′(M+m)g数値を代入します。
α=3.030−0.30×(3.0+2.0)×9.8=3.030−14.7=5.10 m/s2あとは同様に L=21αt12=255 m と求まります。