GSO001 問題16
問題文
マイケルソン干渉計と力学の融合によるフリンジシフト
問題文(再掲)
真空の波長が λ の単色光源を用いたマイケルソン干渉計がある。光源から出た光はハーフミラー(ビームスプリッター)で2つの経路に分割される。 経路1には固定された鏡 M1 があり、経路2には水平で滑らかな床の上に置かれた質量 M の可動鏡 M2 がある。この可動鏡 M2 は、ばね定数 k の軽いばねに接続されており、水平方向に単振動することができる。 さらに、可動鏡 M2 とそれが動く空間は、絶対屈折率 n の透明な液体で完全に満たされた細長い水槽の中にある。(ハーフミラーや固定鏡 M1 は空気中(屈折率 1)にあるものとする)。
初期状態において、可動鏡 M2 はばねの自然長の付近で静止しており、干渉計の検出器ではある明るさの干渉縞が観測されていた。 いま、質量 m の弾丸が速さ v0 で水平に飛来し、可動鏡 M2 の裏側に完全に命中して一体となった(完全非弾性衝突)。衝突の時間は極めて短く、衝突直後に M2(および弾丸)は速度 V を得て、液体の中で単振動を開始した。液体の抵抗力は無視できるものとする。
可動鏡 M2 が振動すると、経路2の光学的距離が連続的に変化し、検出器で観測される干渉縞の明暗が周期的に変化する(フリンジシフト)。 この単振動の過程において、検出器で観測される明暗の変化の周波数(1秒間に通過する干渉縞の数)が最大となるときの、その最大周波数 fmax を求めよ。 ただし、光の速さは弾丸や鏡の速さに比べて桁違いに大きく、鏡が動いている間のドップラー効果による波長変化は無視し、純粋な光路差の変化のみを考慮すればよい。
制約
- 光源の真空中の波長: λ=5.60×10−7 m
- 液体の絶対屈折率: n=1.25
- 可動鏡の質量: M=0.480 kg
- ばね定数: k=200 N/m
- 弾丸の質量: m=0.020 kg
- 弾丸の初速: v0=175 m/s
入力形式
最大周波数 fmax の値を単位 MHz (メガヘルツ、106 Hz)で計算し、得られた値を 100 倍した値を回答せよ。
解説
この問題は、運動量保存則、単振動、そしてマイケルソン干渉計の光路差(屈折率を考慮した光学距離)という複数の分野を完遂する力が問われます。特に、「干渉縞の変化の周波数」という事象を「光路差の時間微分」として数学的にモデル化する視点が重要です。
1. 衝突後の最大速度の導出
まず、弾丸が可動鏡に命中した直後の速度 V を求めます。 弾丸が鏡にめり込む際、衝突の時間は極めて短いため、ばねからの力積は無視でき、水平方向の運動量保存則が成り立ちます 。
mv0=(M+m)V V=M+mmv0=0.480+0.0200.020×175=0.5003.50=7.00 m/s衝突直後、一体となった質量 (M+m) の物体はばねの自然長の位置(振動の中心)にあります。単振動において、振動の中心を通過するときの速さが最大となるため、この単振動における最大速度 vmax はまさに衝突直後の速度 V と等しくなります 。(※制約にばね定数 k が与えられていますが、これは振幅や周期を求める際には必要ですが、「最大速度」を求める上では不要なダミーデータです。入試問題ではこのような情報の取捨選択も求められます)。
vmax=7.00 m/s2. 光路差の変化と干渉縞の周波数の関係の立式
次に、鏡が速度 v で動いているときの、干渉縞が変化する周波数 f を定式化します。 ハーフミラーから固定鏡 M1 までの距離を L1、ハーフミラーから可動鏡 M2 までの液体中の距離を L2 とします。 経路1は空気中(屈折率 nair≈1)を往復するため、光学距離は 2L1 です。 経路2は屈折率 n の液体中を往復するため、光学距離は 2nL2 となります。
2つの光の光路差 Δ は、
Δ=2nL2−2L1となります。強め合う干渉(明線)の条件は、整数 m を用いて Δ=mλ と表されます。 したがって、観測される干渉縞の「次数(位相)」を示す実数 N は、光路差を波長で割ったものとして定義できます。
N=λΔ=λ2nL2−2L1鏡 M2 が動くことで L2 が時間的に変化すると、この N も時間的に変化します。N が 1 変化するごとに、明暗のサイクルが1回(明→暗→明)繰り返されます。 したがって、1秒間に変化する干渉縞の数、すなわち干渉縞の周波数 f は、N の時間微分の絶対値で与えられます。
f=dtdN=dtd(λ2nL2−2L1)λ,n,L1 は定数であるため、微分の外に出ます。
f=λ2ndtdL2ここで、dtdL2 はまさに可動鏡の速度 v に他なりません。
f=λ2n∣v∣この式は、鏡が速く動くほど干渉縞が激しく変化することを示しています。
3. 数値計算
周波数 f が最大となるのは、鏡の速さ ∣v∣ が最大となるとき、すなわち vmax=7.00 m/s の瞬間です。
fmax=λ2nvmax制約の数値を代入します。
fmax=5.60×10−72×1.25×7.00=5.60×10−717.5指数部分を計算しやすく整理します。
fmax=5.6017.5×107=3.125×107 Hz解答の指示に従い、単位を MHz (=106 Hz)に変換します。
fmax=31.25 MHz求める解答は、この値を 100 倍した値の整数部分であるため、31.25×100=3125 となります。
最終解答: 3125