GSO001 問題14
問題文
特殊な熱サイクルにおける熱効率
問題文(再掲)
なめらかに動くピストンを備えた鉛直なシリンダー内に、n モルの単原子分子理想気体が封入されている。この気体に対して、以下の状態 A→C→B→A からなるサイクルを行わせた。
- 状態A: 気体の体積は V0、圧力は P0 である。
- 過程A → C: ピストンを固定したまま気体に熱を与えたところ、圧力が 2P0 となり 状態C に達した。
- 過程C → B: ピストンの固定を外し、圧力を 2P0 に保ちながら気体に熱を与えたところ、体積が 2V0 となり 状態B に達した。
- 過程B → A: 気体からゆっくりと熱を奪いながらピストンを押し下げたところ、圧力 P と体積 V は P−V グラフ上で直線を描いて変化し、状態Aに戻った。
このサイクルの熱効率 e(1サイクルでした正味の仕事を、1サイクルで吸収した総熱量で割った値)を求めよ。
制約
- 気体は単原子分子理想気体である。
- V0=1.0×10−3 m3
- P0=1.0×105 Pa
入力形式
熱効率 e は既約分数 YX で表される。自然数 X+Y の値を回答せよ。
解説
熱効率 e を求めるためには、「1サイクルで気体が吸収した総熱量 Qin」と「1サイクルで気体がした正味の仕事 Wnet」をそれぞれ計算する必要があります。
単原子分子理想気体の内部エネルギー U は、圧力 P と体積 V を用いて以下の式で表されることを基本として進めます。
U=23nRT=23PV1. 各状態の圧力・体積・内部エネルギーを整理する
まず、状態A、C、Bにおける気体の圧力 P、体積 V、および内部エネルギー U を求めます。
-
状態A:
- 圧力: P0
- 体積: V0
- 内部エネルギー: UA=23P0V0
-
状態C (過程A → C は定積変化):
- 圧力: 2P0 (問題文より)
- 体積: V0 (ピストンを固定しているため)
- 内部エネルギー: UC=23(2P0)(V0)=3P0V0
-
状態B (過程C → B は定圧変化):
- 圧力: 2P0 (圧力を保っているため)
- 体積: 2V0 (問題文より)
- 内部エネルギー: UB=23(2P0)(2V0)=6P0V0
2. 吸収した総熱量 Qin を求める
熱力学第一法則 Q=ΔU+W を用いて、各過程で気体がやり取りした熱量を調べます。気体が熱を吸収した過程のみを足し合わせる点に注意してください。
- 過程A → C(定積加熱): 体積が変化しないため、気体がする仕事 WAC は 0 です。したがって、与えた熱量 QAC はすべて内部エネルギーの増加に使われます。
計算結果が正なので、気体はこの過程で熱を**吸収**しています。
- 過程C → B(定圧加熱): 圧力が 2P0 で一定のまま膨張しているため、気体がする仕事 WCB は PΔV で計算できます。
この過程での吸熱量 $Q_{CB}$ は、内部エネルギーの変化と外部にした仕事の和になります。
QCB=(UB−UC)+WCB=(6P0V0−3P0V0)+2P0V0=5P0V0
これも正の値なので、気体は熱を**吸収**しています。
補足: 過程B → A は問題文に「熱を奪いながら」とある通り放熱の過程です(計算すると QBA=−6P0V0 となります)。熱効率の分母には「吸収した総熱量」のみを使うため、これは含めません。
したがって、1サイクルで吸収した総熱量 Qin は次のようになります。
Qin=QAC+QCB=1.5P0V0+5P0V0=6.5P0V0=213P0V03. 正味の仕事 Wnet を求める
1サイクルで気体がした正味の仕事 Wnet は、P−V グラフ上で各状態を結んでできる閉曲線(この場合は直角三角形)の面積に等しくなります。
グラフ上の各頂点は (V0,P0), (V0,2P0), (2V0,2P0) ですから、底辺が V0、高さが P0 の直角三角形となります。
Wnet=21×底辺×高さ=21×(2V0−V0)×(2P0−P0)=21V0P04. 熱効率 e の計算と結論
熱効率 e は、「正味の仕事」を「吸収した総熱量」で割ることで求められます。
e=QinWnet=213P0V021P0V0=131ポイント: 計算過程で P0V0 が約分されて消えるため、問題文に与えられている具体的な数値(V0=1.0×10−3 m3 や P0=1.0×105 Pa)を代入する必要はありません。これらは計算を複雑にさせるダミーデータ(あるいは別解法用)と捉えることができます。
熱効率は既約分数で 131 と表されるため、X=1、Y=13 となります。 求める値は X+Y のため、以下の通り計算します。
1+13=14回答: 14