GSO001 問題12
問題文
ボーアの原子模型と光電効果・磁場中の電子の運動
問題文(再掲)
水素原子において、電子が主量子数 n=4 のエネルギー準位から n=2 のエネルギー準位へ遷移した際に、エネルギー保存則に従って1個の光子が放出された。この光子を、仕事関数 W のある金属表面に照射したところ、光電効果によって電子が飛び出した。 飛び出した光電子のうち、最大の運動エネルギーを持つ電子を選び出し、磁束密度 B の一様な磁場が広がる真空中の空間へ、磁場と垂直な方向に進入させた。この電子はローレンツ力を受けて等速円運動を行う。 電子が描く円軌道の半径 r を求めよ。
ただし、水素原子の基底状態(n=1)のエネルギーの絶対値を E0 とすると、主量子数 n のエネルギー準位は −n2E0 で与えられるものとする。また、電子の質量を m、電気素量を e とする。運動は非相対論的に扱ってよい。
制約
- E0=2.16×10−18 J
- W=2.05×10−19 J
- m=9.00×10−31 kg
- e=1.60×10−19 C
- B=1.40×10−4 T
入力形式
電子の軌道半径 r は A×10−2 m と表される。A を既約分数 qp で表すとき、p+q の値を求めよ。
解説
本問は、「ボーアの原子模型におけるエネルギー準位」「光電効果」「磁場中の荷電粒子の運動」という、原子物理と電磁気学の3つの重要テーマを融合した典型的な難関大レベルの問題である。ステップごとに順を追って数値を導出する。
1. 放出される光子のエネルギーの算出
ボーアの原子模型において、主量子数 n=4 から n=2 への遷移(バルマー系列)に伴って放出される光子のエネルギー ΔE は、エネルギー準位の差から次のように求まる。
ΔE=E4−E2=(−42E0)−(−22E0)=E0(41−161)=163E0制約の E0=2.16×10−18 J を代入して計算する。
ΔE=163×2.16×10−18=3×0.135×10−18=0.405×10−18 J=4.05×10−19 J2. 光電子の最大運動エネルギーの算出
アインシュタインの光電方程式より、金属表面から飛び出す光電子の最大運動エネルギー Kmax は、入射光子のエネルギーから金属の仕事関数 W を引いた値となる。
Kmax=ΔE−W=4.05×10−19−2.05×10−19=2.00×10−19 J3. 等速円運動の半径の算出
質量 m の電子が最大運動エネルギー Kmax を持って運動しているとき、その速さ v は Kmax=21mv2 より、
v=m2Kmax⋯(5)となる。この電子が磁束密度 B の磁場に垂直に進入すると、ローレンツ力 evB を向心力として半径 r の等速円運動を行う。運動方程式は、
mrv2=evB⇒r=eBmv⋯(6)(6)式に(5)式を代入し、速さ v を消去する。
r=eBmm2Kmax=eB2mKmax制約の数値を代入して、計算を進める。まず分子の根号の中身を計算する。
2mKmax=2×(9.00×10−31)×(2.00×10−19)=36.0×10−50 kg2⋅m2/s2したがって、分子は次のように綺麗に根号が外れる。
2mKmax=36.0×10−50=6.00×10−25 kg⋅m/s次に分母 eB を計算する。
eB=(1.60×10−19)×(1.40×10−4)=2.24×10−23 C⋅Tこれらを用いて半径 r を求める。
r=2.24×10−236.00×10−25=2.246.00×10−2 m係数部分の分数を約分して既約分数にする。
2.246.00=224600=112300=56150=2875よって、r=2875×10−2 m となる。 入力形式より A=2875 であり、既約分数 qp と比較すると p=75,q=28 である。 求める値は p+q=75+28=103 である。