GSO001 問題11
問題文
コンデンサーが接続された平行レール上を滑る導体棒
問題文(再掲)
水平で平行な2本の十分に長いなめらかな金属レールが、間隔 L で固定されている。レールの片端には電気容量 C の充電されていないコンデンサーが接続されている。このレール上に、質量 m 、電気抵抗 R の導体棒をレールに対して垂直に置く。レールの電気抵抗は無視できるものとする。空間全体には、鉛直下向きに磁束密度 B の一様な磁場が存在している。
時刻 t において、導体棒にレールに平行な方向へ初速度 v0 を与えた。導体棒はレールに対して常に垂直を保ちながら運動し、十分に時間が経過したのち、やがて一定の速さ vf に達した。 導体棒の最終的な速さ vf を求めよ。
(座標系:レールの方向を x 軸とし、初速度 v0 の方向を正とする。鉛直上向きを z 軸正とする。回路を上から見たときの反時計回りの電流を正の向きとする。)
制約
- L=0.50 m
- C=2.0×10−3 F
- m=1.2×10−2 kg
- R=0.10 Ω
- B=2.0 T
- v0=10 m/s
入力形式
最終的な速さ vf は既約分数 qp (m/s) で表される。p+q の値を求めよ。
解説
任意の時刻 t における導体棒の速さを v、回路に流れる電流を I、コンデンサーに蓄えられている電荷を q とする。 導体棒が磁場中を速さ v で動くとき、ファラデーの電磁誘導の法則より、導体棒には大きさ V=vBL の誘導起電力が生じる。レンツの法則により、これはコンデンサーを充電する向き(反時計回り)の起電力となる。 このとき、閉回路におけるキルヒホッフの第2法則(電圧則)より、以下の回路方程式が成り立つ。
vBL−RI−Cq=0⋯(1)電流 I はコンデンサーに流入する電荷の時間変化率であるため、I=dtdq と表される。 一方、導体棒には電流 I が流れているため、磁場からフレミングの左手の法則に従ってアンペール力(ローレンツ力のマクロな合力)を受ける。その大きさは IBL であり、向きは進行方向と逆向き(x 軸負の向き)である。 したがって、導体棒の運動方程式は以下のようになる。
mdtdv=−IBL⋯(2)これらの方程式を連立して解いていく。(2)式の両辺を微小時間 dt で積分することを考える。Idt=dq であるため、速度変化 dv と電荷変化 dq の関係(運動量と力積の関係)として次式を得る。
mdv=−BLIdt=−BLdqこれを時刻 t=0 から十分に時間が経過した最終状態(t→∞)まで積分する。初期状態では v=v0,q=0 であり、最終状態では速さが一定の vf となり、電流は流れなくなる(I=0)。このときのコンデンサーの最終的な電荷を qf とする。
∫v0vfmdv=−BL∫0qfdq m(vf−v0)=−BLqf⋯(3)また、最終状態においては I=0 であり、速さ vf は一定であるため、(1)式の回路方程式は次のようになる。
vfBL−R⋅0−Cqf=0⇒qf=CBLvf⋯(4)(4)式を(3)式に代入し、vf について解く。
m(vf−v0)=−BL(CBLvf)=−CB2L2vf (m+CB2L2)vf=mv0 vf=m+CB2L2mv0ここで制約の数値を代入する。まず、分母の項である CB2L2 を計算する。
CB2L2=(2.0×10−3)×(2.0)2×(0.50)2=2.0×10−3×4.0×0.25=2.0×10−3 kgこれを vf の式に代入し、質量 m=1.2×10−2 kg=12×10−3 kg を用いて計算する。
vf=12×10−3+2.0×10−312×10−3×10=14×10−312×10−3×10=1412×10=760 m/sこれ以上約分できないため、p=60,q=7 の既約分数である。 求める値は p+q=60+7=67 となる。(なお、電気抵抗 R の値は最終的な速さには影響を与えず、途中で生じるジュール熱の発生ペースと最終状態に到達するまでの時間を決定するパラメータに過ぎないことが数式から読み取れる。)