問題文
コンデンサーの接続切り替えとジュール熱
問題文(再掲)
起電力 V の直流電源、電気容量 C1 のコンデンサー C1、電気容量 C2 のコンデンサー C2、抵抗値 R1 の抵抗 R1、抵抗値 R2 の抵抗 R2、およびスイッチ S1,S2 を用いて、以下の回路が構成されている。
電源の正極からスイッチ S1、抵抗 R1、コンデンサー C1、そして電源の負極へと直列に接続された閉回路がある。
さらに、コンデンサー C1 と並列になるように、スイッチ S2、抵抗 R2、コンデンサー C2 が直列に接続された回路がある(すなわち、C1 の正極側極板から S2、R2、C2 を経由して C1 の負極側極板へと接続されている)。
初期状態において、スイッチ S1,S2 はともに開いており、コンデンサー C1,C2 には電荷は蓄えられていない。
以下の操作を順に行った。
[操作1] スイッチ S1 を閉じ、十分な時間が経過した。
[操作2] その後、スイッチ S1 を開き、続いてスイッチ S2 を閉じて十分な時間が経過した。
操作2の過程において、回路で発生したジュール熱 J を求めよ。
制約
- V=120 V
- C1=4.0×10−6 F
- C2=6.0×10−6 F
- R1=100 Ω
- R2=200 Ω
入力形式
発生したジュール熱 J を μJ(マイクロジュール)単位で求め、その数値となる自然数を答えよ。
まず、[操作1] 終了時の状態を考えます。十分な時間が経過するとコンデンサー C1 は充電され、その電位差は電源の起電力 V と等しくなります。
C1 に蓄えられている電荷 Q1 と静電エネルギー U1 は以下の通りです。
Q1U1=C1V=21C1V2
次に、[操作2] を行います。スイッチ S1 を開き S2 を閉じると、C1 に蓄えられていた電荷が移動し、C1 と C2 の極板間の電位差が等しくなるまで電流が流れます。十分な時間が経過した後の両コンデンサーの電位差を V′ とします。
電荷保存則より、以下の関係が成り立ちます。
C1V′+C2V′=Q1=C1V⟹V′=C1+C2C1V
操作2終了時における、回路全体の静電エネルギーの和 U2 は以下の通りです。
U2=21(C1+C2)V′2=21C1+C2C12V2
発生したジュール熱 J は、エネルギー保存則より静電エネルギーの減少量に等しくなります。
J=U1−U2=21C1V2−21C1+C2C12V2=21C1+C2C1C2V2
与えられた制約の数値を代入して計算します。
J=21×(4.0×10−6)+(6.0×10−6)(4.0×10−6)×(6.0×10−6)×(120)2=21×10.0×10−624.0×10−12×14400=1.2×10−6×14400=17280×10−6 J
解答は μJ(マイクロジュール)単位であるため、単位を変換します(1 μJ=10−6 J)。
J=17280 μJ
したがって、求める自然数は 17280 となります。
【別解:換算質量のアナロジーを用いて一瞬で解く方法】
コンデンサーの接続によって失われる静電エネルギー(ジュール熱)は、力学における「2物体の完全非弾性衝突(合体)」で失われる力学的エネルギーと全く同じ数学的構造を持ちます。
力学において、質量 m は電気容量 C に、速度 v は電位 V に対応し、合体して同じ速度になることは、接続されて同じ電位になることに対応します。
完全非弾性衝突で失われるエネルギーが「相対運動エネルギー 21μvrel2 (μ は換算質量 m1+m2m1m2)」であるのと同様に、回路で失われるエネルギーも「相対静電エネルギー 21Cseries(ΔV)2」として一瞬で立式できます。
ここで、Cseries は直列合成容量 C1+C2C1C2、ΔV は接続前の相対的な電位差です。
本問の場合、接続直前の電位差は C1 が 120 V、C2 が 0 V です。これらを直接代入します。
J=21×(4.0+6.0)×10−6(4.0×10−6)×(6.0×10−6)×(120−0)2=1.2×10−6×14400=17280 μJ