GNTMC001 問題6
問題文
偏心した直円柱の原点まわりにおける慣性テンソルと回転軸の極値問題
問題文
3次元デカルト座標系 (x,y,z) を考える。 一様で等方的な密度を持つ質量 M、底面の半径 R、高さ h の直円柱がある。 この円柱の一つの底面が x−y 平面(z=0)に完全に含まれており、その底面の中心の座標は (R,0,0) である。 円柱の中心軸(対称軸)は直線 x=R,y=0 に一致し、円柱の本体は 0≤z≤h の領域に存在している。 座標原点 O(0,0,0) は、この底面の円周上に位置していることになる。
原点 O を通り、x−z 平面内に含まれる任意の直線を回転軸としたときの、円柱の慣性モーメントを考える。この回転軸の方向を x−z 平面内で連続的に変えたとき、慣性モーメントが取り得る最大値を IA、最小値を IB とする。 また、原点 O を通り、y 軸に完全に一致する直線を回転軸としたときの、円柱の慣性モーメントを IC とする。
円柱の高さが h=4R の関係を満たすとき、IA,IB は次のように表される。 IA=SP+QMR2 IB=SP−QMR2 ここで、P,S は互いに素な自然数であり、Q は平方因子を持たない自然数(いかなる素数の2乗でも割り切れない自然数)である。 また、IC は次のように表される。 IC=VUMR2 ここで、U,V は互いに素な自然数である。
上記から導出される変数 P,Q,S,U,V を用いて、指示された一意な自然数を算出せよ。
制約
- 円柱の質量: M=500.0 kg
- 円柱の底面の半径: R=10.0 m
- 円柱の高さ: h=40.0 m
- 慣性テンソルの各成分は Iij=∫ρ(r2δij−xixj)dV で定義されるものとする。すなわち、非対角成分(慣性乗積)は Iij=−∫ρxixjdV (i=j) である。
入力形式
次の式で計算される値 W を、自然数として入力せよ。 W=P×Q+S×U+V
解説
解説
1. 重心まわりの慣性テンソル
まず、円柱の重心 G の座標を求めます。 円柱の中心軸は x=R,y=0 にあり、z 方向には 0≤z≤h の範囲に一様に分布しているため、重心 G の座標は (xG,yG,zG)=(R,0,h/2) となります。 問題の条件 h=4R より、重心の座標は G(R,0,2R) です。
重心 G を原点とし、各座標軸に平行な軸を持つ並進座標系 (x′,y′,z′) における慣性テンソル IG を考えます。 一様な直円柱の重心まわりの主慣性モーメントの公式より、対称軸(z′ 軸)まわり、および対称軸に垂直な軸(x′,y′ 軸)まわりの慣性モーメントは以下のようになります。 IG,x′x′=IG,y′y′=41MR2+121Mh2 IG,z′z′=21MR2 ここに h=4R を代入すると、 IG,x′x′=IG,y′y′=41MR2+121M(16R2)=(123+1216)MR2=1219MR2 また、(x′,y′,z′) 座標系は円柱の対称軸に沿っているため、非対角成分はすべて 0 となります。 IG,x′y′=IG,y′z′=IG,z′x′=0
2. 平行軸の定理を用いた原点Oまわりの慣性テンソル
次に、平行軸の定理を用いて、原点 O(0,0,0) まわりの慣性テンソル IO を求めます。 重心 G の位置ベクトルは rG=(R,0,2R) です。テンソルの各成分について平行軸の定理を適用します。
対角成分: IO,xx=IG,x′x′+M(yG2+zG2)=1219MR2+M(02+(2R)2)=1219MR2+4MR2=1267MR2 IO,yy=IG,y′y′+M(xG2+zG2)=1219MR2+M(R2+(2R)2)=1219MR2+5MR2=1279MR2 IO,zz=IG,z′z′+M(xG2+yG2)=21MR2+M(R2+02)=23MR2=1218MR2
非対角成分: IO,xy=IG,x′y′−MxGyG=0−M(R)(0)=0 IO,yz=IG,y′z′−MyGzG=0−M(0)(2R)=0 IO,zx=IG,z′x′−MzGxG=0−M(2R)(R)=−2MR2=−1224MR2
以上より、原点 O まわりの慣性テンソル IO は行列表記で次のように表されます。 IO=12MR2670−240790−24018
3. y軸まわりの慣性モーメント
原点 O を通り、y 軸に一致する回転軸まわりの慣性モーメント IC は、慣性テンソルの成分 IO,yy に他なりません。 IC=1279MR2 よって、これを VUMR2 と比較すると、U=79,V=12 となります。(79 と 12 は互いに素です)
4. x−z平面内の主慣性モーメント
原点 O を通り x−z 平面内にある回転軸の方向単位ベクトルを n=(cosθ,0,sinθ)T とおきます。 この回転軸まわりの慣性モーメント I(θ) は、二次形式 I(θ)=nTIOn で与えられます。 IO の y 成分に関する非対角要素はすべて 0 であるため、x−z 平面内の慣性モーメントの極値問題は、IO から y 成分を除外した 2×2 の部分行列 Ixz の固有値問題に帰着します。 Ixz=12MR2(67−24−2418)
この行列の固有値を λ とします。便宜上 λ′=MR212λ とおき、次の特性方程式を解きます。 det(67−λ′−24−2418−λ′)=0 (67−λ′)(18−λ′)−(−24)2=0 λ′2−85λ′+1206−576=0 λ′2−85λ′+630=0 解の公式を用いて λ′ を求めます。 λ′=285±852−4×630=285±7225−2520=285±4705 ここで 4705=5×941 であり、平方因子を持ちません。 元の固有値 λ に戻すと、最大値 IA と最小値 IB は以下となります。 IA=2485+4705MR2 IB=2485−4705MR2
5. パラメータの特定と最終計算
得られた式と問題の定義を比較し、各パラメータを特定します。 SP±QMR2=2485±4705MR2 P=85,Q=4705,S=24 となり、85 と 24 は互いに素である条件も満たしています。
最後に、要求された値 W を計算します。 W=P×Q+S×U+V W=85×4705+24×79+12 85×4705=399925 24×79=1896 W=399925+1896+12=401833
求める最終的な自然数は 401833 です。