問題文
電荷移動で加速する回転導体棒
問題文
水平な面上に、半径 a の細い円環状のなめらかな導線(レール)が固定されている。円環の中心を O とする。この空間には、鉛直下向きに磁束密度 B の一様な磁場が存在する。
質量 m、長さ a のまっすぐな導体棒(以下、棒1と呼ぶ)を用意し、一端を O に固定して、もう一端 P を円環に接触させながら、面上をなめらかに回転できるようにした。棒1の慣性モーメントは 31ma2 である。
中心 O と円環上の固定点の間に、電気容量 C のコンデンサー、正の自己インダクタンス L をもつコイル、およびスイッチを直列に接続した。回路の電気抵抗、棒とレールの間の摩擦、空気抵抗はすべて無視できる。コイル以外の自己インダクタンスも無視できる。
初期状態において、棒1は静止しており、コンデンサーの O 側の極板には電荷 +Q0、反対側の極板には電荷 −Q0 が蓄えられている。
時刻 t=0 にスイッチを閉じた。コンデンサーの O 側の極板の電荷が初めて Q1 になった瞬間を考える。この瞬間に棒1に生じている誘導起電力の大きさを V とする。
棒1を O から P に向かって流れる電流を正とし、棒1の反時計回りの角速度を正とする。スイッチを閉じてから電荷が初めて Q1 になるまでに流れた電気量と、棒1の角運動量の変化との関係を考えるとよい。
制約に示した数値はすべて厳密値として扱う。
制約
- a=0.300m
- m=0.100kg
- B=1.20T
- C=2.00F
- Q0=0.500C
- Q1=0.200C
入力形式
コンデンサーの電圧の大きさは CQ1 である。
無次元比
R=Q1/CV
を既約分数 qp と表し、p+q を入力せよ。
電流と棒の角運動量
時刻 t におけるコンデンサーの O 側の極板の電荷を Q、棒1を O から P に流れる電流を i とします。
電流が O 側の極板から棒1へ流れ出すため、
i=−dtdQ
です。
中心から距離 r にある棒の微小部分が受ける磁気力の大きさは iBdr です。この力による点 O のまわりの力のモーメントを積分すると、
N=∫0ariBdr=21Ba2i
となります。
ここで、
I=31ma2,k=21Ba2
とおくと、棒1の回転の運動方程式は、
Idtdω=ki
です。
i=−dtdQ を代入すると、
Idtdω=−kdtdQ
となります。
初期状態では ω=0、Q=Q0 であるため、時間について積分すると、
Iω=k(Q0−Q)
を得ます。
この関係は L を含みません。自己インダクタンスは運動の時間スケールには影響しますが、同じ電荷 Q における棒1の角速度には影響しません。
したがって、Q=Q1 の瞬間の角速度は、
ω=Ik(Q0−Q1)
です。
数値を代入すると、
Ik=31×0.100×(0.300)2=3.00×10−3kgm2,=21×1.20×(0.300)2=5.40×10−2Vs
より、
ω=3.00×10−3(5.40×10−2)(0.500−0.200)=5.40rad/s
となります。
指定された瞬間の存在
回路方程式は、
Ldtdi=CQ−kω
です。
i=−dtdQ および ω=Ik(Q0−Q) を代入すると、
Ldt2d2Q+(C1+Ik2)Q=Ik2Q0
となります。
したがって、Q は、
Qeq=1/C+k2/Ik2/IQ0
を中心として振動します。
数値を代入すると、
Ik2=3.00×10−3(5.40×10−2)2=0.972F−1
であるため、
Qeq=0.500+0.9720.972×0.500≈0.330C
です。
初期状態では Q=Q0 かつ dtdQ=0 であるため、電荷の最小値は、
Qmin=2Qeq−Q0≈0.160C
となります。
よって、
Qmin<Q1<Q0
であり、L>0 の値によらず、Q が初めて Q1 になる瞬間は実際に存在します。
誘導起電力
棒が反時計回りに回転するとき、棒上の正電荷には中心 O に向かうローレンツ力がはたらくため、電位が高いのは O 側です。
誘導起電力の大きさは、
V=∫0arωBdr=21Ba2ω=kω
です。
したがって、
V=(5.40×10−2)×5.40=0.2916V
となります。
一方、コンデンサーの電圧の大きさは、
CQ1=2.000.200=0.100V
です。
よって、
R=0.1000.2916=2.916=250729
となります。
したがって、入力すべき自然数は、
p+q=729+250=979