GEO002 問題4
問題文
恒星を焦点とする楕円軌道での面積速度と掃過時間
問題文
質量 M の恒星のまわりを、質量 m の彗星が万有引力だけを受けて運動している。恒星を原点 O とし、彗星の位置ベクトルを r とする。彗星には、恒星からの万有引力以外の力は作用しない。彗星の軌道は閉じた楕円であり、恒星はその一方の焦点にある。
軌道面内で、恒星から見た近日点方向を x 軸正方向とし、真近点角を θ とする。時刻 t=0 に彗星は近日点を通過する。近日点距離を rp、遠日点距離を ra とする。
彗星が近日点通過後にはじめて、真近点角が θ∗ となる点 P に達するまでの時間を Δt、公転周期を T とする。楕円の長半径を a、離心率を e とすると、軌道上の距離は
r(θ)=1+ecosθa(1−e2)で表される。
万有引力は中心力であるため、彗星の恒星まわりの角運動量は保存する。この角運動量保存から面積速度一定を導き、さらに軌道方程式を用いて、近日点から点 P までの掃過面積と楕円全体の面積の比を求めることで、Δt/T を求めよ。
制約
- M=1.99×1030kg
- m=2.40×1013kg
- rp=1.00AU
- ra=3.00AU
- θ∗=90.0∘
入力形式
Δt/T を
BA−FπCDの形に表す。ただし、A,B,C,D,F は正の整数、A/B と C/F はそれぞれ既約分数、D>1 は平方因子をもたない自然数とする。このとき、A,B,C,D,F をこの順に十進表記で横に並べてできる自然数を入力せよ。
解説
角運動量保存と面積速度
彗星に働く力は恒星 O に向かう中心力なので、
r×F=0です。したがって角運動量
L=mr×vは保存します。
軌道面に垂直な角運動量の大きさを
L=mr2θ˙と書くと、微小時間 dt に掃く面積 dS は
dS=21r2dθです。よって
dtdS=21r2θ˙=2mLとなります。L が保存するため、面積速度 dS/dt は一定です。
したがって、時間比 Δt/T は、近日点から点 P までの掃過面積を楕円全体の面積で割った値に等しくなります。
楕円軌道の離心率と面積
近日点距離と遠日点距離は
rp=a(1−e),ra=a(1+e)です。したがって
a=2rp+ra,e=ra+rpra−rpです。
制約より
e=3.00+1.003.00−1.00=21となります。
楕円の短半径を b とすると、
b=a1−e2です。よって、楕円全体の面積は
Sall=πab=πa21−e2です。e=1/2 より、
Sall=πa243=2πa23となります。
掃過面積の積分表示
近日点から真近点角 θ∗ までに掃く面積は
S∗=∫0θ∗21r(θ)2dθです。軌道方程式
r(θ)=1+ecosθa(1−e2)を代入すると、
S∗=2a2(1−e2)2∫0θ∗(1+ecosθ)2dθとなります。
ここで e=1/2、θ∗=90.0∘=π/2 より、
S∗=2a2(3/4)2∫0π/2(1+21cosθ)2dθです。したがって
S∗=329a2∫0π/2(1+21cosθ)2dθとなります。
半角置換による積分評価
半角置換
u=tan2θを用います。このとき
cosθ=1+u21−u2,dθ=1+u22duです。積分範囲は、θ=0 で u=0、θ=π/2 で u=1 です。
また、
1+21cosθ=1+211+u21−u2=2(1+u2)3+u2です。よって
∫0π/2(1+21cosθ)2dθ=∫01(u2+3)28(1+u2)duとなります。
ここで
(u2+3)21+u2=−31dud(u2+3u)+32u2+31です。実際、
dud(u2+3u)=(u2+3)23−u2なので、右辺は
−31(u2+3)23−u2+32(u2+3)2u2+3=(u2+3)21+u2となります。
したがって
∫01(u2+3)28(1+u2)du=8[−31u2+3u+32∫u2+3du]01です。
また、
∫u2+3du=31arctan3uなので、
∫01(u2+3)28(1+u2)du=8(−31⋅41+332arctan31)です。
arctan31=6πより、
∫0π/2(1+21cosθ)2dθ=−32+938πとなります。
面積比から時間比を求める
したがって掃過面積は
S∗=329a2(−32+938π)です。これを整理すると、
S∗=−163a2+43πa2となります。
ここで
431=123なので、
S∗=−163a2+12πa23です。
面積速度が一定なので、
TΔt=SallS∗です。よって
TΔt=2πa23−163a2+12πa23となります。
第1項と第2項に分けて整理すると、
TΔt=−163a2⋅πa232+12πa23⋅πa232です。したがって
TΔt=−8π33+61となります。
さらに
8π33=8π3なので、
TΔt=61−8π3です。
これは指定された形
BA−FπCDに対して
A=1,B=6,C=1,D=3,F=8です。
したがって、入力すべき自然数は
16138です。