GEO001 問題3
問題文
運動する座標系における開管・閉管の共鳴とドップラー効果の融合
問題文
無風で一様な大気(温度 TA、音速 V)の中に、水平でまっすぐな線路がある。線路上の列車に、同じ内半径 r の円柱状の管Aと管Bが、列車の進行方向と平行に固定されている。管の管壁の厚みや空気の粘性は無視できるものとする。
管Aは長さ LA であり、両端が完全に開いている。 管Bは長さ LB であり、列車の進行方向前方の端は剛体で閉じられており、後方の端のみが開いている。 管Bの内部にはヒーターが設置されており、管B内の空気の温度は外部よりも高い TB に均一に保たれている。温度 TB の空気中での音速は VB である。
開管および閉管の開口部における開口端補正 Δx は、管内の風の有無や温度、音の振動数にかかわらず常に Δx=0.6r であるとし、開口端における波の反射の位相変化は無風時と同じであると仮定する。
管Aと管Bそれぞれの内部の気柱を、常に「基本振動」で共鳴させる。発生した音は、それぞれの管の後方の開口部から外部の大気中へ放射される。線路上の列車の後方(列車が遠ざかっていく方向)の地上には、静止した観測者がいる。
まず、列車が静止しているとき、観測者は管Aと管Bから発せられる音を同時に聞き、毎秒 n 回のうなりを観測した。このとき、管Aが発する音のほうが管Bの音よりも高い(振動数が大きい)ことがわかっている。
次に、列車が一定の速さ v で前方へ等速直線運動を始めた。このとき、管Aは両端が開いているため、管の内部には列車に対する相対的な風が吹き抜ける。一方で、管Bは前方端が閉じられているため内部の空気は列車と共に移動し、管B内に相対的な風は生じない。 列車が速さ v で走行しているとき、地上の観測者にはうなりが全く聞こえなくなった(管Aと管Bから到達する音の振動数が完全に一致した)。
管Aの長さ LA および管Bの長さ LB を導出せよ。
制約
- 大気中の音速: V=360 m/s
- 管B内の音速: VB=432 m/s
- 列車の速さ: v=72 m/s
- 管の内半径: r=0.05 m
- 静止時のうなりの回数: n=5 Hz
入力形式
導出された LA および LB をミリメートル(mm)単位に換算し、それらの数値を足し合わせた自然数を入力せよ。 (例: LA=1.23 m,LB=0.45 m であれば、1230+450=1680 を入力する)
解説
解説
1. 開口端補正と実効長
問題文より、開口端補正 Δx は以下のように計算される。 Δx=0.6r=0.6×0.05=0.03 m 管Aは両端が開いている開管であるため、気柱の振動における実効長 Leff,A は両側に開口端補正が加わる。 Leff,A=LA+2Δx=LA+0.06 m 管Bは片端が閉じている閉管であるため、開口端補正は開いている後方端の片側のみに加わる。 Leff,B=LB+Δx=LB+0.03 m
2. 列車静止時の基本振動数
列車が静止しているとき、風の影響はない。 管A(開管)の基本振動数 fA0 は、半波長が実効長に等しい条件より、 fA0=2Leff,AV=2(LA+0.06)360=LA+0.06180 Hz 管B(閉管)の基本振動数 fB0 は、管内の音速が VB であり、四分の一波長が実効長に等しい条件より、 fB0=4Leff,BVB=4(LB+0.03)432=LB+0.03108 Hz 静止時のうなりの回数が 5 Hz であり、管Aの音のほうが高いことから、以下の関係式が成り立つ。 fA0−fB0=5⋯(1)
3. 列車移動時の管内の共鳴条件
列車が速さ v で移動しているときの各管の共鳴を考える。
管A(開管)について: 管Aは両端が開いており、列車が前方へ速さ v で進むため、管に固定された座標系から見ると、管内を後方へ向かって速さ v の風が吹いていることになる。 管内で前方に進む音波の相対速さは V−v、後方に進む音波の相対速さは V+v となる。 音波が管の実効長 Leff,A を往復するのにかかる時間 τA は、 τA=V−vLeff,A+V+vLeff,A=V2−v2Leff,A⋅2V 基本振動では、この往復時間が1周期に相当するため、移動中の管Aの基本振動数 fA は、 fA=τA1=2V⋅Leff,AV2−v2=fA0V2V2−v2 値を与えられた定数で計算すると、V=360,v=72 より Vv=36072=51。 V2V2−v2=1−(51)2=1−251=2524 したがって、 fA=2524fA0
管B(閉管)について: 管Bは進行方向の前端が閉じられているため、内部の空気は列車と一緒に移動し、管に対する相対的な風は存在しない。したがって、管内の共鳴条件は静止時と変わらず、管Bの基本振動数 fB は静止時と同じである。 fB=fB0
4. 外部の観測者におけるドップラー効果
各管の後方開口部から外部(静止した大気中)へ音が放射される。 このとき、音を放射する「音源(開口部)」は、地上の観測者から見て速さ v で遠ざかっている。外部の媒質(大気)は静止しており音速は V であるため、遠ざかる音源によるドップラー効果の公式を適用する。
観測者が聞く管Aの音の振動数 fA′ は、 fA′=fAV+vV=(fA0V2V2−v2)V+vV=fA0VV−v 計算すると、 VV−v=360360−72=360288=54 fA′=54fA0
観測者が聞く管Bの音の振動数 fB′ は、 fB′=fBV+vV=fB0V+vV 計算すると、 V+vV=360+72360=432360=65 fB′=65fB0
5. 連立方程式の解と管の長さの導出
列車移動時にうなりが消えたため、fA′=fB′ が成り立つ。 54fA0=65fB0 24fA0=25fB0⟹fB0=2524fA0=0.96fA0 これを式(1) fA0−fB0=5 に代入する。 fA0−0.96fA0=5 0.04fA0=5⟹fA0=0.045=125 Hz これにより、管Bの基本振動数は、 fB0=125−5=120 Hz
それぞれの静止時の振動数の式から長さを逆算する。 管Aの長さ LA: LA+0.06180=125 LA+0.06=125180=2536=1.44 m LA=1.44−0.06=1.38 m=1380 mm
管Bの長さ LB: LB+0.03108=120 LB+0.03=120108=109=0.90 m LB=0.90−0.03=0.87 m=870 mm
6. 解答の算出
LA と LB のミリメートル単位での和を求める。 1380+870=2250 よって、入力すべき自然数は 2250 である。