GBO003 問題10
問題文
宇宙ネコ便、脱出できるニャ?
問題文
半径 R の球形の小惑星で、ネコ型配送ロボットが宇宙郵便を届けている。ロボットは小惑星の表面から、地表に垂直な外向きに初速度 v0 で射出される。
ロボットが小惑星の中心から距離 r の位置に設置された「宇宙またたびゲート」を通過するときの速さを v とする。また、その位置から追加の推進を行わずに無限遠まで到達するために必要な最小の速さを vesc とする。
小惑星は静止した球とみなし、その外部では全質量が中心に集中しているものとして扱う。小惑星の自転、大気抵抗、他の天体の重力、および射出後の推進力は無視する。
μ は小惑星の標準重力パラメータであり、万有引力定数 G と小惑星の質量 M の積、
μ=GMで定義される。万有引力による位置エネルギーは、無限遠で 0 とする。
ゲート通過時の速さの2乗と、その位置での脱出速度の2乗との比 vesc2v2 を求めよ。
制約
- μ=3.20×1012m3/s2
- R=1.60×106m
- v0=2.50×103m/s
- r=2.40×106m
入力形式
vesc2v2 を既約分数 qp と表したとき、自然数 p+q を入力する。
解説
万有引力による位置エネルギー
質量 M の小惑星の中心から距離 x にある、質量 m の物体の万有引力による位置エネルギーは、無限遠を基準とすると、
U(x)=−xGMmです。
標準重力パラメータ μ=GM を用いると、
U(x)=−xμmと表せます。
負号が付くのは、無限遠で位置エネルギーを 0 としたとき、万有引力で束縛されている有限距離の物体の位置エネルギーが負になるためです。
表面からゲートまでの力学的エネルギー保存
射出後のロボットには小惑星の万有引力だけがはたらきます。万有引力は保存力なので、小惑星の表面からゲートまで力学的エネルギーが保存されます。
小惑星の表面では、ロボットの中心からの距離は R です。したがって、射出直後の力学的エネルギーは、
Ei=21mv02−Rμmです。
ゲートでは中心からの距離が r なので、力学的エネルギーは、
Eg=21mv2−rμmです。
力学的エネルギー保存則より、
21mv02−Rμm=21mv2−rμmが成り立ちます。
両辺を m で割り、v2 について整理すると、
v2=v02−2μ(R1−r1)となります。
数値を代入すると、
v2=(2.50×103)2−2(3.20×1012)(1.60×1061−2.40×1061)=6.25×106−6.40×1012(4.80×1061)=6.25×106−34.00×106=314.75×106m2/s2です。
v2>0 なので、ロボットはゲートまで到達できます。
ゲートの位置での脱出速度
脱出速度とは、その位置から出発した物体が、追加の推進を行わずに無限遠まで到達できる最小の速さです。
最小の速さで脱出する場合、無限遠での速さは 0 になります。また、位置エネルギーも無限遠で 0 です。したがって、無限遠での力学的エネルギーは、
E∞=0です。
ゲートの位置で速さが vesc であるとき、力学的エネルギー保存則より、
21mvesc2−rμm=0が成り立ちます。
これを整理すると、
vesc2=r2μです。
数値を代入すると、
vesc2=2.40×1062(3.20×1012)=38.00×106m2/s2となります。
速さの2乗の比
求める比は、
vesc2v2=38.00×106314.75×106=8.0014.75=3259です。
59 と 32 は互いに素なので、
p=59,q=32です。したがって、
p+q=59+32=91となります。
入力すべき自然数は 91 です。