GBO002 問題7
問題文
切り替えスイッチで分かれる電荷
問題文
十分に長い時間、スイッチを左側に倒しておくと、コンデンサー C1 は電池に接続され、上側の極板が正になるように電圧 V で充電される。この間、コンデンサー C2 は回路から切り離されており、電荷をもたない。
次に、電池を回路から完全に切り離したうえで、スイッチを右側に倒す。すると、C1 と C2 の上側極板どうし、下側極板どうしが接続される。ただし、上側極板どうしを結ぶ経路には抵抗 R が含まれ、下側極板どうしは抵抗の無視できる導線で接続される。スイッチを右側に倒してから十分に時間が経つと、電流は流れなくなり、両方のコンデンサーの電圧は等しくなる。
この切り替えによって、抵抗 R を通って C2 の上側極板へ移動した正味の正電荷量を q とする。q を求めよ。
制約
- C1=4.70×10−4 F
- C2=3.30×10−4 F
- V=6.00 V
- R=12.0 Ω
入力形式
q を μC 単位で表した数値が既約分数 rp となるとき、p+r を入力せよ。
解説
抵抗 R の役割
切り替え後の接続経路には抵抗 R が入っています。これにより、電荷が移動する途中で静電エネルギーの一部がジュール熱として失われます。
したがって、十分に時間が経つと電流は止まり、両方のコンデンサーの電圧が等しい静電的な状態に落ち着きます。ここで大切なのは、最終的な電荷分布は R の大きさには依存しないということです。R は「どれくらいの速さで落ち着くか」と「エネルギーがどこで散逸するか」を決めますが、十分に時間が経ったあとの共通電圧は電荷保存から決まります。
切り替え前の電荷
スイッチを左側に倒して十分に時間が経っているので、C1 は電圧 V まで充電されています。コンデンサーの電荷と電圧の関係は
Q=CVです。
したがって、切り替え直前に C1 の上側極板にある正電荷は
Q0=C1Vです。一方、C2 は回路から切り離されていたので、初めは電荷をもっていません。
電荷保存から共通電圧を求める
電池を切り離したあとでは、上側極板どうしを含む部分に外部から電荷は供給されません。したがって、上側極板全体の正味の電荷は保存されます。
十分に時間が経ったあとの共通電圧を Vf とすると、C1 の上側極板の電荷は C1Vf、C2 の上側極板の電荷は C2Vf です。
よって、電荷保存より
C1V=(C1+C2)Vfとなります。したがって、
Vf=C1+C2C1Vです。
C2 に移動した電荷
C2 は初め電荷をもっていなかったので、十分に時間が経ったあとに C2 の上側極板にある電荷が、そのまま抵抗 R を通って移動した正味の正電荷量 q になります。
したがって、
q=C2Vfです。先ほど求めた Vf を代入すると、
q=C1+C2C1C2Vとなります。
数値代入
与えられた値を代入すると、
q=4.70×10−4+3.30×10−4(4.70×10−4)(3.30×10−4)×6.00です。
分母は
4.70×10−4+3.30×10−4=8.00×10−4なので、
q=1.16325×10−3 Cです。これを μC 単位に直すと、
q=1163.25 μCとなります。
これは
1163.25=44653と表せるので、p=4653, r=4 です。
したがって、入力すべき自然数は
4653+4=4657です。
別解:完全非弾性衝突とのアナロジー
この問題は、力学における完全非弾性衝突と同じ形で見ることもできます。
完全非弾性衝突では、質量 m1 の物体が速さ v0 で動き、静止している質量 m2 の物体に衝突して一体となると、運動量保存より衝突後の共通速度 vG は
vG=m1+m2m1v0です。
この対応を、コンデンサーの問題に置き換えて考えます。対応関係は次のようになります。
- 質量 m に対応するものが、電気容量 C
- 速度 v に対応するものが、電圧 V
- 運動量 mv に対応するものが、電荷 CV
- 共通速度 vG に対応するものが、共通電圧 Vf
すると、衝突後の共通速度の式をそのまま翻訳して、
Vf=C1+C2C1Vが得られます。
さらに、静止していた物体 m2 が衝突後に得る運動量は
Δp2=m2vGです。これに対応して、初め電荷をもっていなかった C2 が最終的に得る電荷は
q=C2Vfです。したがって、
q=C2C1+C2C1Vより、
q=C1+C2C1C2Vとなります。これは本解で電荷保存から求めた式と一致します。
アナロジーから見たエネルギーの行方
この類推は、エネルギーの見方にもつながります。
完全非弾性衝突では、運動量は保存されますが、運動エネルギーは一部失われます。失われる運動エネルギーは、換算質量
μ=m1+m2m1m2を用いて
ΔK=21μv02と表せます。
コンデンサーの問題では、これに対応して
Ceq=C1+C2C1C2が現れます。これは直列接続の合成容量と同じ形であり、力学における換算質量に対応する量と見ることができます。
したがって、切り替えによって失われる静電エネルギー、すなわち抵抗 R で発生するジュール熱は
ΔU=21C1+C2C1C2V2です。
このように見ると、抵抗 R は単なる計算上の付け足しではありません。完全非弾性衝突で力学的エネルギーが熱や変形のエネルギーに変わるのと同じように、この回路では静電エネルギーの一部が抵抗でジュール熱に変わります。その結果、電荷の移動が止まり、両コンデンサーの電圧が等しい状態に落ち着くのです。
最終的に、入力すべき自然数は
4657です。