GBO001 問題3
問題文
同軸ソレノイドコイルの作る合成磁界
問題文
「ソレノイドコイル」と呼ばれる、長い円筒状の枠に導線を密に巻き付けた電気部品について考えます。 十分に長いソレノイドコイルに一定の電流を流すと、コイルの内部には中心軸に平行な磁界が生じます。このとき、磁界の向きは「右ねじの法則」によって決まります。すなわち、右手の親指以外の4本の指を電流の向きに合わせてコイルを握るようにしたとき、親指の指す方向が磁界の向きとなります。
また、コイル内部に生じる磁界の強さ H は、コイルに流れる電流 I に比例し、さらに「コイル 1 m あたりの巻数 n」に比例することが知られており、以下の式で計算することができます。
H=nIなお、コイル 1 m あたりの巻数 n は、コイルの総巻数 N をコイルの全長 L で割ることで求められます (n=LN)。 (※本問題において、各コイルの半径は長さに比べて十分に小さく、端の影響は無視できるものとします)
いま、水平な机の上に、円筒状のコイルAとコイルBが同じ中心軸を持つように(同軸上に)固定されています。コイルBの半径はコイルAの半径よりも小さく、コイルBはコイルAの内部に完全に収まるように配置されています。
机の右側から左側に向かって中心軸を見たとき、コイルAには導線が巻かれており、時計回りに一定の電流 IA が流れています。一方、コイルBには反時計回りに一定の電流 IB が流れています。
コイルAの全長は LA、総巻数は NA です。 コイルBの全長は LB、総巻数は NB です。
このとき、両方のコイルが重なり合っている領域の中心付近における、合成された磁界の強さ Htotal を求めてください。
制約
- コイルAの全長: LA=0.50 m
- コイルAの総巻数: NA=1000 回
- コイルAに流れる電流: IA=3.0 A
- コイルBの全長: LB=0.20 m
- コイルBの総巻数: NB=600 回
- コイルBに流れる電流: IB=1.5 A
入力形式
得られた合成磁界の強さ Htotal の値を自然数で答えよ。
解説
1. 各コイルの 1 m あたりの巻数 n の計算
問題文の誘導にある通り、磁界の強さを求めるためには、単なる総巻数ではなく「1 m あたりの巻数 n」を求める必要があります。これは「密度」のような概念であり、物理において非常に重要な考え方です。
コイルAの 1 m あたりの巻数 nA は、総巻数 NA を全長 LA で割ることで求められます。
nA=LANA=0.501000=2000 [回/m]同様に、コイルBの 1 m あたりの巻数 nB を求めます。
nB=LBNB=0.20600=3000 [回/m]2. 各コイルが単独で作る磁界の強さ H の計算
次に、それぞれのコイルが単独で存在したと仮定したときに、内部に作る磁界の強さを計算します。問題文で与えられた公式 H=nI を用います。
コイルAが作る磁界の強さ HA は以下の通りです。
HA=nAIA=2000×3.0=6000 [A/m]コイルBが作る磁界の強さ HB は以下の通りです。
HB=nBIB=3000×1.5=4500 [A/m]3. 右ねじの法則による磁界の向きの判定
磁界は「強さ」だけでなく「向き」を持つベクトル量です。したがって、2つの磁界を合成する(足し合わせる)際には、それぞれの向きを考慮する必要があります。
問題文の状況設定を整理します。机の右側から左側に向かって中心軸を見たとき(視線の向きは右から左):
- コイルAの電流は時計回りです。右手を用いて、4本の指を時計回りに巻くようにすると、親指は視線と同じ方向を指します。よって、磁界 HA の向きは**視線と同じ方向(右から左)**です。
- コイルBの電流は反時計回りです。右手を用いて、4本の指を反時計回りに巻くようにすると、親指は視線と手前を指します。よって、磁界 HB の向きは**視線と逆の方向(左から右)**です。
4. 合成磁界の強さ Htotal の算出
手順3の考察から、コイルAが作る磁界とコイルBが作る磁界は互いに逆向きであることが分かりました。 このように、一直線上において逆向きに働くベクトルを合成する場合、その大きさ(強さ)は、互いの値の差の絶対値となります。
したがって、合成磁界の強さ Htotal は以下のように計算されます。
Htotal=∣HA−HB∣=∣6000−4500∣=1500 [A/m]よって、求める値は 1500 となります。
最終解答: 1500